爽やか王子の裏側は



……


はっ!


静かになってしまった園川くんを恐る恐る見上げる


つい口達者になってしまった


「…園川くん?」


「…ふふ」


ふ、ふふ?


「フフフッ…」


え、なに?


なんで笑ってんの?


気色悪(←


「いやなるほどねwwそんなこと言われるなんて思ってなかったわ」





「面白いね、西村は」



面白い?


変なの



「園川くん変わってますね」


「そうだね、俺は変わってる方だと思うよ。裏表だって激しいしね。」


そう言っている割にはさっきよりも明るい表情だった


歯を見せて笑う顔は新鮮で思わず目を離せなくなっちゃうくらい


思わず私も笑みが溢れて、再び足を進めた



あれ?


ふと足を止めた園川くん





振り向くとしっかりと目を見られてその口が動いた



「…ねぇ西村はさ…ニコニコしてる俺と、性悪短気のクソ野郎な俺と…どっちがいい?」


性悪短気のクソ野郎…


根に持ってたのか


……


そんなの当然爽やかな方だけど


ただ憧れて本当の園川くんを知ろうとせず、見てるだけだったあの時と


衝撃的だったけどあの時は考えられなかったような…



園川くんを見る


なんだろう


いつもは感じないような雰囲気


この人こんな小さかったっけ?って思うくらい弱々しく見える





「私は…今の弱々しい園川くん、結構好きですよ。」



質問の答えとしては相応しくなかったかもしれないけど



「…」


園川くんの目がいつもより大きくなったのがわかった


「帰りましょ」


……


「……うん。」

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