爽やか王子の裏側は



「あ、ここで。」


「ここ?西村の家」


「はい」


結局家まで送られてしまった


こんなこと初めてだな



「あの、ありがとうございました。」



「…こちらこそ」


へ?


「フフッなんでもない。」


なんだそりゃ


「あのこの服も…お兄さんにもありがとうございましたって伝えてください」


「んー、気が向いたらね」


いやなんでだよ


なんでそこ溜めるんだよ



ーー ガチャ







「姉ちゃん?」


「快斗!」


声が聞こえたのか快斗が出てきた


「姉ちゃん…?弟?」


「あ、はい。」


園川くんが素晴らしい切り替えでスッといつもの笑顔になった


「はじめまして、お姉さんのクラスメイトの園川です」


「…弟の…快斗です。」


なんだ?


快斗の目つきがいつもより鋭い


「姉ちゃん…その服。」


!!


「あ!いや!決して買ったわけじゃないよ!そんな無駄遣いしてないからね!」


「この人が買ったの?」


「いや、買ったっていうか」


なんて言えばいいんだ?


「俺の身内の店の試作品だよ。手伝ってもらったからプレゼントしたんだ」


何にも手伝ってないと思うのだが


「ふーん…彼氏?」


か、かれ、かれれ!


「ち、違うから!!」


「…そう、よかった」


よ、よかった?


快斗の言動にあたふたしていると園川くんの手がピクッと動いた…気がした


ぐい


わっ!


「どうぞよろしくね。快斗くん」


な、な、なななんでっか、かた


園川くんはなぜか私の肩を自分に寄せた


何をしているんだこの人はっ


しかも不思議な圧のかかった声


「……」


快斗の目が細くなった


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