爽やか王子の裏側は



「西村、これ」


ばふっ!


うお


顔面にバスタオル直撃


「拭いて」


ま、タオルは拭くものだよね


「それからこれ。生徒指導室にあった代わりの制服。一日乾かすから今日はこれ着て」


「あ、はい。」


「西村って2組?」


「そうです。」


というか…この先生関わりないのに私の名前知ってるんだ…クラスまで


「あの、先生私の事、ご存知なんですね。」


「ん?ああ。だってシクラメンの子でしょ?」


…へ?


「シクラメンに毎日水上げてる子」


「え、あ、そうですけど…なんで知ってるんですか?」


当然でしょ?と言わんばかりに何考えてるかわかんない顔で私をみる


「他のクラスにはないよ、あの花。9月くらいに教室にあっても意味ないからって撤去したんだけど、2組のシクラメンだけ枯れてなかったんだよ。」


ほぉ…


「で、よくよく話聞いてみたら西村華乃って子が毎日水上げてるって分かったんだよ。
俺あの時間毎日あそこ通るからチラッと見たりしたけど何回か水やってるとこ見た。
今日もシクラメンに水あげようとしてたんでしょ?」


「はい…」


へぇ…誰も見てないと思ったのに


「いつもありがとうね。」





少し口角が上がった


ああ。今の顔なら、女の子に人気が出るのもわかる気がする




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