爽やか王子の裏側は



委員会の間ずっと頭の中で考えていた


前方で机に突っ伏している長谷川の野郎の背中を見ながら



えっと、とりあえず整頓しよう


月の光を独学でやって、それを頑張ったんだぁみたいなこと言ったら馬鹿にされたと…


いや、意味わからん!


頑張ってる自分が好き?


なんでそういう発想になるかな


自分じゃなくてピアノが好きなの!


なんで人の好きなものを素直に受け止められないんだよあの人は!


綺麗事?なんでそうなる


独学で弾きたいって思うくらい月の光に心打たれて楽譜探し回って


何ヶ月もかけてやっと弾けるようになった曲


……


なんかピアノを馬鹿にされたみたいで腹立ってきた


この野郎、下手したら園川くんより性格悪いぞ!


時間が経つたびにあの長谷川の野郎に対する怒りが湧いてくる


今すぐ見返してやりたい



……



そうだ


だったら聴かせてやればいいんだ!


これが私の努力の賜物!


誰かに見せるために、評価されるためにやってきたわけじゃない!


音楽が好きなら絶対わかってくれるはず


私の音を聴いてくれれば!


謎の自信を持って委員会が終わるのを待った




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