年上同期の独占愛~ずっと側に
結局気分の晴れないまま週末を過ごし、月曜日を迎える。

相変わらず混雑の駅構内、エレベータ、ともにうんざりする。
やっとのことで23階につき、自席につくと、思わず深いため息がでた。

「どうしました?体調悪いですか?」

隣の原さんが声をかけてくれる。

「あ、いえ。すみません、大丈夫です。今日の打合せもしっかりやります」

「いや、そうじゃなくて。野崎さんは打合せもいつも準備万端なので助かってます、信頼してます。ただ、溜息なんじゃめずらしいな、と思ったので」

「ちょっと週末色々あって、つい」

「何かありましたか?」

「実は自宅、両親と住んでる実家なんですけど、今度建て直すことになったんです」

結婚して二世帯というところは省き、事実を伝える。

「へー、色々大変でしょ。実は僕も2年前に実家を建て直して、僕の両親と僕の家族と一緒に住んでるんです。」

確か原さんはまだ30代になったばかりのはずだが、お子さんが二人いらっしゃる。

「そうでしたか。手続きのことで、父にこっぴどく怒られて。私が悪いんですけどね、」

父との喧嘩は時間がたち、あまり気にならなくなっていた。しかし、亮と会えなかったことが不満となり、溜息の原因となっていた。
昨日の夜、仕事が終わった後会いに来てくれると思っていた。今までの亮はずっとそうだった。ほんの少しの時間でも『顔がみたかったから』と時間を作ってても会いに来てくれていた。
しかし、昨日の夜電話してみたが繋がらず、メッセージも送ってみたが返信もなかった。もう諦めて寝ようか、という時間になってやっと、仕事終わったー、疲れた、とメッセージがあった。
恐らく、ベンダさんたちの飲みに行っていたのだろう。仕方がないけど、連絡くらいほしかった。

「もう、仮住まいに引越ししたんですか?」

「まだなんです。仮住まいはもうみつけてあるので、来月です。」

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