年上同期の独占愛~ずっと側に
「同期の飲み会とかではほとんど酔わないよね。酔っぱらって気持ち悪くなって吐きまくって、みたいなのは学生の時までだな。」

「お酒飲んでも全然変わらないの?」

「いや。ふわふわするし、気が大きくなったりはするよ。大阪行く前、萌々ちゃんのこと誘ったり触ったりするときは、いつも同期会の帰りだったでしょ?飲んでて気が大きくなってたからさ。」

そうだったんだ。見た目全然かわないし、話したことを覚えてない、といったことも一度もない。かなりの量飲んでるな、とはいつも思っていた。

「萌々ちゃん、来週遠出しない?海のほうか山のほう。」

「海がいいかな。あ、でも泳ぐわけじゃないよね?」

「さすがにもう泳げないよね。じゃあ、温泉も入れて海が見えるとこ。予約するよ。」

・・・泊まりってことだよね。

「土日で、ってことだよね?」

「うん。あ、金曜日の夜からのほうがいい?」

「・・・あ、いや、土日で。」

どっちみち泊まりでってことか。聞いておいてよかった。

「やった。じゃあ、ちょっと探してみる。何か希望があったら教えて。」

来週の平日、早く帰れる日があったら食事しようね、と話してその日は別れた。

その翌週、林君が海の見える温泉宿に連れて行ってくれた。まだ秋に差し掛かったばかりだが、所々紅葉が見えることができて、とても綺麗だ。温泉宿について、すぐに入りたいのはやまやまだが、せっかくだから海まで散歩しよう、と手をつないで歩き出す。

「今日は、来るの嫌じゃなかった?」

「もちろん、嫌じゃなかったよ。楽しみしてたし、楽しい!」

「よかった。俺、自分のやっていることが中途半端でうまくいかなくて、萌々ちゃんに嫌な思いさせちゃったけど、本当に大好きなんだ。付き合ってくれて本当に嬉しい。」

「私も新入社員のころから林君のこと好きだったよ。本当はあのころから恋人になりたいなって思ってたけど、配属先のこととか慣れない仕事のこととか気になることがたくさんあったもんね。勇気出なくてごめんね。」

「それは俺だってそうだったから。あの時付き合ったとしても萌々ちゃんに寂しい思いさせる自信しかなかった。だから今こうしてられて夢みたいだ。」

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