年上同期の独占愛~ずっと側に
驚く亜都子に、これまでのいきさつを話す。話を聞き終わると亜都子は驚いてはいるものの、やっぱり一度話をしたほうがいいと頻りに言った。

「萌々香の話はわかったけど、実際立花さんって人とどうなってるのか聞いてないんでしょ?何か誤解があるかもしれないじゃない。」

それも考えた。考えたけど、もう無理だった。実際2週間以上全く林君と会っていなかった。その間、林君の仕事が忙しいと思い込んでいたことをいいことに、また私の仕事が忙しいのをいいことに、立花さんと会っていたのは間違いないような気がする。

「泊まるって言ってた。アヤって言ってた。もう十分だよ。本当のことなんて聞きたくない。」

「ダメだよ、萌々香。別れるにしたってちゃんと話そう。萌々香が考えていることが本当だったら、私だって林のこと絶対に許さない。林に自分の行動がどれだけ萌々香を傷つけたか、ちゃんと自覚させないと。だから話そう。私も一緒に会おうか?」

大阪の亜都子にそんな迷惑かけられない。一人で大丈夫だと強がり、また連絡する、と亜都子からの電話を切った。

しかし、林君と話をして、傷つかないわけがない、と思うと、林君に連絡する気がおきなかった。亜都子と電話で話してからさらに1週間、林君からの連絡を無視し続けた。ブロックしてしまおうかと頭をよぎったが、亜都子と電話を思い出し、やっぱり一度は話をしないとかな、と思いブロックはできなかった。

そして週末の土曜日、弘美から電話があった。

「今日暇だったらごはん行きません?」

「ん~、行こうかな。少し遅めの時間でもいい?まだ寝起きなんだよね。」

もう11時近い時間だが、仕事を詰め込みすぎて、毎日帰宅が深夜だった。原さんたちに心配されながらも、仕事をしていないと嫌なことばかり考えてしまう。今の私は忙しいことが有難かった。

「仕事、ペース落としたらどうですか?まあ、とりあえず、美味しいもの食べに行きましょう。17時ころでいいですか?」

「うん。じゃあ、後でね」

この一週間、とにかく仕事ばかりで全然息抜きができていなかった。林君と会いたくないがためにお昼もずっと一人デスクで食べていた。

弘美との待ち合わせ場所に行くと、既に弘美が来ていた。

「萌々香さん、痩せましたね。ちゃんと食べてますか?」

「食べてるよ。・・」

「林さんから連絡ありましたよ。」

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