年上同期の独占愛~ずっと側に
「じゃあ、私行くね。バイバイ。」

「え、ちょっ、萌々ちゃん待って。」

ガタガタと席を立って私の腕を掴むが、もう触られるのもキツい。

「もう無理だから。行くね。」

「ねえ、待って。また傷つけてごめん。だけどちゃんと話するから。だから信じて待ってて」

この期に及んで信じてなんてよく言える。誠実な人だと思っていたのに。

「浮気を許して良いことなんて何もない。信頼関係なんてもう築けるわけない。
・・・それとも私のほうが浮気だった?」

「そんなわけないだろ。彼女とは別れたんだ。」

「じゃあ、私は浮気されたんだね。許せない。だから別れる。」

それでも食い下がる林君に、申し訳ないが、少し力を入れて突き放す。二人で会うのは今日が最後だ。

「妊娠するかもしれないようなことした相手が、妊娠したって言っているんでしょ。ちゃんと誠実な対応してよ。見損なったよ、林君。
とにかく、もう私は林君とのこの先はないから。」

言い捨てて、お店をでる。
車で来たから家までは少し離れている。タクシーを拾おうかとも思ったが、30分はかからないくらいだから、歩こう。

歩きながら、頭に浮かぶのは、林君の笑顔だ。誰もが誠実だと思っていた林君が浮気・・二股なのかわからないが、そんなことをするなんてみんな信じないだろう。それとも私のせいなのか・・私が浮気されやすい体質なのだろうか。
だとしたら、かなりヘコむ。私には恋愛が向かないのだろうか。

家に着き、ひとしきり、泣いた。涙が乾いたら亜都子に電話しようと思っているのに、なかなか涙が止まらない。

結局亜都子に電話したのは夜中だった。先ほどの林君とのやり取りを言うと、亜都子はかなり驚き、興奮したようにまくし立てた。

「本当なの?信じられない。そんないい加減な人だったっけ。見損なったよ!
で・・・妊娠って?立花さん妊娠してるの?林は結婚するわけ?」

そこは林君も確かなことを言っていなかった。避妊したからどうのこうの、と、最低発言に私がキレて、実際どうなのかは結局聞けてない。

「萌々香、ごめんね。林君なら大丈夫とか、私も見る目なかったね。」

「亜都子が謝ることじゃないよ。私が決めたことだしね。」

好きだったからね、と心の中で付け加えた。

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