年上同期の独占愛~ずっと側に
私の口調に驚いたのか、少し焦った様子で答える。

「ごめんなさい。マズいとかそういうのはないです。キツイ言い方してすみません。」

いや、いいけど、こっちこそごめん、と言って、それぞれの席につく。これから夜まで長いな。今日は飲みには行けないかな。

はあー。最近お酒を飲むようになった私を両親たちが心配しているのは何となく感じている。遊び歩いている、と思っているのだろう。林君とお付き合いしていたことは話してなかったものの、恋愛がうまくいかなかったことは気づいている様子だ。私が気晴らしになるのなら、と見守っていてくれている感じだ。

もうすぐ27歳の誕生日だ。一年前、26歳の誕生日の時も一人だった。母はお誕生日お祝いしてくれる人いないの~?と聞いてきたが、中々ねぇ~・・と返事したら困ったような顔をしていた。

翌週の金曜日、原さんも緒方さんもお休みのため、打ち合わせが全部飛んでしまった。来週から現場ヒアリングが開始になるが、スケジューリングもばっちりだし今日は早めに退社しよう。

今日も少しだけ飲んで帰ろうかな、と会社からは少し離れているが、一番マスターが気さくなBarで飲むことにする。このBarは顔見知りも多く、何人かと雑談しながら飲むのも楽しくなっている。以前絡まれたときに神田先輩に助けてもらったBarだ。

Barに着くとすぐ、弘美から電話がかかってきた。

「萌々香さん、今どこですか?今日暇なんですけど、ごはん行きませんか?」

なんだ、もう少し早く連絡くれれば一緒にご飯食べれたのに、と残念に思いながら、このBarは弘美の家からは反対方向だが、誘えばくるかな・・・

「もう会社出てて、飲み始めたところ。今一人だから、来る?」

「一人で飲んでるんですか?」

驚いた様子で大声で弘美が聞いてくる。もちろん行きます、というので場所を言うと20分足らずでやってきた。

「すっごい大人の雰囲気ですね、ここ」

「うん。一人のお客さんが多くて、気安く来られるの。マスターも気さくだよ。」

基本的にはBarだし、がっつり食事をしたいなら移動したほうがいいだろう。それに静かなお店だからあまり騒げない。しかし弘美はお昼も遅かったし少しつまめれば大丈夫だというので、そのまま飲むことにした。

「こういうお店に通ってるなんて驚きました。萌々香さんお酒嫌いでしょ?」

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