年上同期の独占愛~ずっと側に
林君に対する未練はないが、悲しみやくやしさはやはりある。思い出すことは少なくなってきたのは本当だ。だが、思い出してくなくて飲んで帰る頻度が高いのも事実だ。

しばらく二人で飲んでいると、神田先輩がふらりとお店にやってきた。

「こんばんは。」

「神田さん、こんばんは。」

色黒で黙っていると一見冷たい顔つきに見えるが、二カっと笑って人懐っこい笑みを見せて、弘美にも顔を向けて挨拶をしている。

「友達と一緒なんて珍しいな。」

「一つ下の後輩の弘美です。ここに来てから連絡があったので、誘ったんだです。」

神田さんと弘美でお互い自己紹介をした後、世間話をしている。お互い悪い印象ではないようだ。しばらく三人で飲んでいると、弘美の彼氏から電話がかかってきた。これから迎えに来るらしい。

「萌々香さん、彼、車なので一緒に乗っていきません?乗り換えの駅まで送りますよ。」

「う~ん。でも方向逆だし、まだ電車あるから大丈夫よ。」

「俺がタクシー乗せるから平気だよ。」

「・・・萌々香さん、本当に大丈夫ですか?
神田さん、くれぐれもよろしくお願いしますね。」

信用ねーな・・と苦笑いしてたが、神田さんは見た目と違い、割と紳士だ。以前助けてもらって以来、私が飲みすぎないようにさりげなく気を配ってくれている。

弘美が帰ったあと、あと一杯飲んだのがいけなかった・・・

目が覚めると、まず、頭が痛くてなかなか目が開けられない。両手で体を触ると服を着たまま寝てたらしい。薄目を開けると自分の部屋ではない天井が見える。慌てて体を起こしてみると、どうやらソファに寝かされていたらしい。頭には冷えピタが貼ってある。

後ろから物音がして、振り返ってキッチンの方を見ると、神田先輩がカップを手に持って近づいてくるところだった。

「よう。大丈夫か?」

「はい・・・。ご迷惑おかけしてすみません。」

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