年上同期の独占愛~ずっと側に
ちょっと気持ち悪くなってきた、と言ったら神田さんが外の風当たれば少し良くなるかも、とお店の外まで連れ出してもらったところまでは覚えている。気持ち悪いのは収まったが頭痛がひどくなってきて歩くのがつらくなってきた。

そこからの記憶は断片的だ。神田先輩がこのまま帰すわけにいかないから、と言い、家に連絡をしなくてはならない、と言う私に、家に電話させようとするが、頭が痛い、というばかりで電話できる状態ではなく、私の電話から弘美に連絡をしてくれたらしい。弘美が私の母に電話をしてくれて、事なきを得たらしい。

ヤバい・・・神田さんだけではなく、弘美へも迷惑をかけるとは・・・。弘美はもう飲みには行くな、と言うかもしれない。

「すみませんが、洗面所お借りしていいですか。」

「おう。あっちな。」

左側のドアを顎で指す。簡単にメイクだけ直して、早めにお暇しよう。会社用のポーチしかもっていないのでファンデーションとグロスくらいしかないが、仕方がない。コンタクトをしたまま眠ってしまったので、目がかなり充血している。コンタクトを外し、目薬を差して洗面所を出る。

部屋に入ると、神田先輩がコーヒーを入れてくれていた。

「お腹は?パンくらいしかないけど、食う?」

「大丈夫です。これ頂いたら帰りますね。」

「おう。駅まで行けば、モーニングだしてくれるカフェとかあるけど、寄ってく?」

「ん~、いいや。もう帰ります。コンタクトレンズもしてなくて、心細いし。」

「ん。じゃあ、駅まで一緒に行くよ。買い物あるし。」

「本当にすみませんでした。お世話になりました。今度おごりますね。」

「ん。じゃあ、いくか」

駅まで並んで歩くと、大分暖かくなってきたな、と感じる。夜はまだ寒い日もあるが、今日は晴れていて気持ちがいい。飲みすぎでなければどこかに出かけたいくらいだ。

「お前、彼氏とかいないの?」

「いませんよ。見ててわかりませんか?」

「まあ、な。昨日一緒にいた後輩の弘美ちゃん?やたら心配してたからさ。何かあるのかなって思って。」

「ふふ。最近やたら心配症なんですよね。後輩なのに、頼りがいがあるんです。」

駅までは5分足らずの距離なので、話しながら歩いているとすぐ着いてしまう。

「じゃあ、本当にご迷惑おかけしました。またお店で。」

「おう!気をつけてな。」

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