年上同期の独占愛~ずっと側に
とにかく、昨日は弘美と神田さんのお陰で助かった。こんなことがある度にお酒がもう少し強くて楽しめたらな、と思うが、こればかりは仕方がない。改めてお礼を言って電話を切った。

再来週の私の誕生日は平日なので、来週末、弘美が予約してくれたフレンチに行く約束をした。その時に弘美の好きな焼き菓子を買っていこう。

翌週、何となく疲れが抜けないものの、仕事は容赦なくあるので集中して作業を進めるが、来週また一つ年を取ることが憂鬱で今一つ気分がのらない。

思えば、誰かに誕生日をお祝いしてもらったのって、亮と付き合っていた間の2回だけだ。元々うちの家族は、おめでとう、はもちろん言ってくれるが、ケーキやプレゼントを用意してくれるようなお祝いをしてくれたことがなかったので、亮に初めてお祝いしてもらったときは感動してしまった。

そんなことを考えているうちに気が滅入ってしまったのだが、週末には弘美が食事に連れて行ってくれる。それを楽しみに仕事を頑張ろう。

週末の金曜日、弘美が予約してくれたフレンチは予約が取りにくくて有名店だった。都心にありながら閑静な場所にあり、とても高級なお店だった。後輩にこんな素敵なお店でお祝いしてもらうなんて、いいんだろうか。
弘美に恐縮してお礼を言うと、少し疲れた様子で口を開いた。

「いいんですよ、最近ちょっとストレス溜まってて私も少し贅沢したかったんで。」

「何かあった?」

「・・・実は彼氏と最近上手くいってないんです。」

「喧嘩?」

「まあ、喧嘩もしますけど、多分、浮気してます。浮気・・・っていうか、他に好きな人ができたんだと思います。」

「・・・別れるの?」

「近々そうなるでしょうね。」

まだちゃんと話してないんで・・・。とボソッと呟く。弘美と彼はそれなりに長く2年以上は付き合っていると思う。

弘美の話によると、女の影がチラつくので問い詰めているのだがとぼけられているらしい。弘美の想像では、別れ話をするにしても自分の浮気ではなく、穏便に別れたいため、弘美が疑っている間は別れ話をしてこないのではないか、と言っていた。それにしてもそろそろ限界なので、弘美から別れ話をするつもりだと・・・。

いつも私の心配ばかりしている弘美がこんな悩みを抱えてるなんて、気付かなかった。

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