年上同期の独占愛~ずっと側に
マスターが作ってくれたカクテルは初めて飲む美味しさで、フルーツは何か聞くと、グレープフルーツと桃を混ぜたものだと教えてくれた。とても美味しくてグビグビ飲んでしまいそうだったが、橋本さんが来る前に1杯空けるのもな、と思い、ゆっくりと飲む。

10分ほど遅れて橋本さんがやってくると、マスターとあいさつして私の横に腰を下ろす。

そういえば、今更だけど、今日は橋本さんと2人できてしまったけど山元さんとデートとか大丈夫なんだろうか。

「今日は山元さんは?」

「山元さん?今日は午後半休だったから俺が戻った時にはもういなかったんだよね。何かあった?」

そうか。午後いなかったから私と飲みに行く予定が入れられたのか。

「いえ、午後お休みって何か用事ですかね。」

「週末実家に用があるって言ってたから今日から帰ってるんじゃないかな。」

「ご実家に帰られてるんですね・・。でも大丈夫ですか?橋本さんは私と飲んでて。」

「俺?大丈夫だよ。仕事は目途ついたし。」

話していると、橋本さんの前にスッとグラスが置かれる。席についてすぐ、どんなお酒が好みかマスターに質問されていたので、飲みやすい順で出してくれるのだろう。

そういえば、橋本さんはどれくらい飲めるのだろう。以前懇親会で一緒になったときは、二人で幹事だったため、お互い一滴も飲んでなかった気がする。どのくらいですか?と質問すると、そこそこ、という返事だった。その答えで普通に強いのだろうと推測できる。

「それ、何ですか?」

「ジントニック」

「へぇ。そうだ、このカクテル、フルーツに紅茶を混ぜてあるんですけど、すごく美味しいんです。飲んでみてください。」

グラスと差し出すと少し驚いたように私を見たが、じゃあ、いただきます。とグラスに口を付けた。

「想像と違う。甘くないし、ベースはラムかな。」

「お酒、詳しいですね。カクテルとかよく飲むんですか?」

「最近は全然。大学の研究室にいたころ、教授が行きつけのホテルのBarがあって。研究室に籠ってると、たまに呼び出されてよく付き合わされたんだ。会社入ってからも教授と会うときはBarが多いからね。その時くらいかな。」

「橋本さん、同期とは思えないくらい大人ですね。院卒だし年も上だからっていうのだけでなく・・原さんより落ち着いてると思いますもん。」

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