年上同期の独占愛~ずっと側に
「原さんだって相当大人だろ?かなり出来る男だって有名だし。」

「本当に。原さんにはお世話になりっぱなしです。私も原さんのお役に立ちたくて日々努力はしているものの、まだまだです。いつか恩返ししたいです。」

「恩返し?」

「はい。たくさん助けてもらってます。」

「野崎さんは今だって十分統括の戦力じゃない。役に立つレベルはとっくに超えてると思うよ。」

「ふふ。ありがとうございます。でも、まだまだです。人間的にも原さんに追いつきたい。追い越すくらじゃないと恩返しできないし。」

「随分原さんにご執心だね。」

「原さんにっていうか・・・原さんが私にしてくれたことを私もいつか他の人にできるような人間になりたいってことです。今の私にはそこまでの力量がありませんから。」

橋本さんが揶揄うように言ってきたが、亮と別れて何も手に着かずに落ち込んでいた時に原さんに助けてもらったことを今話題にすることもない気がするので言わずにいるが、あの時、私の仕事を請け負うだけでなく、緒方マネージャーや吉村さんにも上手く伝えてくれ、原さんの立ち回りには驚いた。
プライベートを持ち込んだ私が悪いのは明らかなのに、日ごろからの私を評価し信頼してくれたため、立ち上がれる時間をくれたのだ。もし今私に後輩ができたとしても、自分の仕事だけで手一杯な私にそこまでフォローが出来る気がしない。

話しながら割と良いペースで飲んでいる橋本さんはもう2杯目を飲み終わるところだった。バーテンダーさんがそろそろロックですか?と聞きに来ると、橋本さんもニコっと頷きいいですね、と応えてた。続けて私に向かって、もう少しさっぱりしたものお作りしましょうか?と聞いてくれたので、お願いします、と頼んだ。

「いいお店だね。」

「本当に。マスターも店員さんも良い人ですし。カクテル美味しいです。」

次に出してくれたカクテルは、オレンジベースだけど甘くなくサッパリ感が強いカクテルだった。グラスの淵にオレンジが2切れついていて、トロピカルジュースみたいだ。オレンジを1切れ食べてみるととてもジューシーで美味しい。

「これ、すっごい美味しいです。一つどうですか?」

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