年上同期の独占愛~ずっと側に
「萌々香」

シャワーから戻ると更に顔色がよくなった先輩がドカッとソファーに座り私を呼んだ。

「はい?」

「お前、これからも俺のそばにいてくれるの?」

びっくりした・・・。
まさか先輩にそんなこと言われるなんて、想像すらしてなかった。

「神田さんは、そんなつもりじゃなかったんですよね。私だってそこまで図々しくないです。」

「何だよ、それ。
この前はさ、お前がかなり酔っててもしかしたら記憶がないかもって思いながらも、弱ってるお前に付け込んじゃったから俺も反省してたんだ。お前のこと傷つけたよな。」

「私がお願いしたんですよ?傷なんかついてないです。側にいてくれてありがとうございました。」

「この前も言ったけど、俺が誘ったって言っただろ。
だけど、誘いにのったのは、俺が好きだからってことではないんだよな?」

「・・・・・」

「別にそれを責めてるんじゃなくてさ。
だとしても、萌々香が俺を選んでくれたのが嬉しかったんだ。他にも側にいてくれそうな男たくさんいるだろ?お前の会社男ばっかだし、そこそこ可愛がられてるんだろ?」

神田先輩と気まづくなるのは嫌だったし、この前の夜のことは、いつかは話さなきゃならないな、とは思っていたが・・・。
急に話し出したと思ったら、こんな話・・・まさか熱があるときにこの話になるとは思いもよらず、なんて答えていいのか頭の整理がつかない。

「全然連絡してこないし、Barにも来ないし、俺が勇気を振り絞って会いに行っても素っ気ないし。避けられてるのはわかってたんだけど。」

避けているつもりは全くなかった。もう終わったことだと思っていただけだ。

「正直さ、俺も萌々香に恋愛感情があったわけじゃないんだ。もちろん嫌じゃないしっていうかむしろ好感は持ってたから何度も一緒に飲んだしさ。だから萌々香が俺に甘えてきてくれたのはかなり嬉しくて調子にのっちゃったな、って思ったんだ。先にちゃんとこういう話しておけば良かったって後悔した。」

やっぱり先輩は見た目と違って根が真面目だ。見た目も決してチャラくはないが、何となく遊んでそうに見える。

「真面目に考えてくださってありがとうございます。」

「それに昨日、今日で萌々香に対する印象もかなり変わったな。」

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