年上同期の独占愛~ずっと側に
どういう意味だろう。何か気に障ることをしてしまっただろうか、と考えてること、不安が顔にでていたらしい。ぷっと小さく笑うと、悪い意味じゃない、と言いながら私の頭をポンポンと撫でた。

「すごく心配してくれて、世話してくれて、嬉しかった。安心して眠れた。これからも側にいてくれたらなー、なんて思ったんだけどさ。
・・・お前はそうじゃないんだろ?」

答えられないでいると、また私の頭をポンと触り、わかってるよ、と言った。

「萌々香は多分、本当に好きな相手を自分から誘ったりできないだろうしさ。」

しばらく沈黙が続き、気まずい雰囲気になったものの、どうすることもできずにいると、先輩が立ちあがり冷蔵庫を開けて中身を物色し始めた。

「このプリン食べていい?」

「もちろんです。」

「サンキュ。」

今食べるかと思ったら、プリンを冷蔵庫に戻して寝室に向かう。次は夕食の時間頃に声をかければいいだろう。

思いがけずあの夜の話をしてしまったが、神田さんの気遣いが嬉しかった。
以前同期の間だで噂になったことがあった。神田さんは出版社でもかなりのエリートではあるが、大きな財閥グループの血縁者らしく、将来は出版社をやめて他の仕事に就く予定があること、そして結婚相手もそれなりの人でなければならないこと・・噂ではあるが、どれも信憑性があったし、神田先輩自身もその噂を否定していない。
、掴みどころがなく異世界の人の雰囲気がいつもあり、Barで一緒になるだけで嬉しかった。とてもとても素敵な人だけど、この先側にいることはできない。

夕方、起こす前に寝室から出てきた神田さんはソファに座り熱を測った。

「何度ですか?」

「37.5」

「まだありますね。明日は会社休めますか?」

「熱下がれば行く。」

「ん~、できれば一日休んでほしいです。」

「熱があったら休むよ。
もう俺大丈夫だからさ。二日間ありがとな。」

「今日は泊まります。明日の支度は持ってきたし、今から帰るの面倒です。」

「マジでサンキュ。こんな高い熱出したの記憶になくて、どうしていいのかわからなかったよ。お前に電話して俺ラッキーだったな。」

「こちらこそ、今までたくさん迷惑かけて、助けてもらってますから。」

「お前ソファじゃ体休まらないだろ。今日はベッドで寝ろよ。俺こっち寝るから。」

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