年上同期の独占愛~ずっと側に
「部屋も片付けてくれたんだな。洗濯も。ありがとう。」

そういうと、私のところに歩いてきて頭をポンポンとしたあと、ふわりと抱きしめてきた。

「俺はね、結構萌々香のこと気に入ってるんだ。
寂しかったらいつでも来いよ。めちゃくちゃ甘やかしてやる。」

「・・・ありがとうございます・・・本当に。」

神田さんのスウェットの裾を握りながら、泣きそうになるのを耐えた。このまま神田さんの側にいたい誘惑に負けそうになるが、お互いこの人じゃなきゃダメだという強い気持ちがない。弱っていた時に側にいてくれ、たまたま居心地がよかっただけのことだ。もちろん、付き合っていくうちに気持ちが強くなっていくこともあるだろう。
でも・・・亮と林君との付き合いを振り返ると、こんな気持ちのままでは良くない。
想像以上に先輩が考えてくれたこと、一度だけ体の関係を持っただけ相手なのに、そのままにせず誠意をもって向き合ってくれたことがうれしかった。

「早く元気になってください。」

「おう。」

もう一度頭を撫でて離れて行った。

翌朝、6時ころには支度を終えて、寝室を除くと神田先輩はちょうど目が覚めた様だった。

「おはようございます。熱測りますね。」

「さっき測った。37度ちょうど。」

「まだ微熱ありますね。今日は一日お休みしてください。」

先輩は私の格好を眺め、ふっと目を細めると苦笑いしながら言った。

「もう行くのか?」

「はい。早めに行きますね。」

「お前、体調は?俺のが移ったらシャレにならん。」

「今のところピンピンしてます。」

神田さんがベッドから降りて、私を促しリビングへと向かう。ソファに座ると改まったように、二日間ありがとな、と呟いた。

「何かあったらいつでも頼って。」

「そう言ってもらえるだけで心強いです。
神田さん、お元気で。お世話になりました。」

「こちらこそ。」

神田さんはニコっと爽やかに笑い、玄関まで見送ってくれた。まだ微熱があるものの、だいぶ体調が良さそうだ。


< 169 / 228 >

この作品をシェア

pagetop