年上同期の独占愛~ずっと側に
玄関を出ると、ほんの少しだけ寂しさがやってきたが、どちらかというと晴れやかな気分のほうが強い。神田先輩のおかげで前を向けそうだ。この二日間、高熱の神田さんは身動きが取れなかったのは事実だろうけど、何で私を呼んだのか・・・何となくわかった気がした。私が気に病まないように、お互いさまになるように・・・
亮のこと、林君のこと、裏切られた事実は消すことはできないが、私の気持ちは前を向けそうだ。


7時前には会社についてしまいそうだったので、コーヒーショップで時間を潰すことにした。
先輩の家のソファはそこらの布団より全然寝心地がよく、意外に快適に熟睡することができた。昨日はどうしようかと思ったものの、シャワーだけでなく図々しく湯船にお湯を張ってくつろいでしまった。週初めの月曜日だが、とても気分よく頑張れそうだ。

そろそろ会社に行こうか、と席を立とうとすると、橋本さんがレジに並んでいるのが見えた。もし店内で飲むなら混雑しているので私が出た後ここの席を使えばいいと思い、荷物を置いたまま橋本さんに近づく。

「おはようございます。」

「ああ、野崎さんおはよう。」

「私もう出ますので、もし店内で過ごすなら私が使ってたところどうぞ」

「ああ、ありがとう。でもテイクアウトで頼むから。野崎さんももう一杯買ってあげるよ。何がいい?」

「今飲んだばかりですので大丈夫です。じゃあ、荷物もってきますね」

結局私のコーヒーも買ってくれて、二人で並んで会社に向かう。

「今週末、予定大丈夫?」

「今週末?」

「買い物付き合ってくれるって約束。今週末は大丈夫?」

そうだった・・・。色々ありすぎてすっかり忘れていた。この前2人で飲んだ時に約束したんだった。
今週は恐らく平日頑張れば週末の出勤はないだろう。

「大丈夫です。土日、どっちにしますか?」

「土曜日でいい?」

「はい。」

「じゃあ、時間とかまた後で連絡する。」

はい、と頷くと、ところで、とチラっと私のカバンを見る

「随分大荷物だね。」

「はい。今日はちょっと出先から来たので。」

「出先?」

はい。と頷いて返事をした後も、ずっと私の顔から目をそらさない。ん?と目で見上げると、まだ見ているため、もう一度声に出して答えた。

「あの、友達の家から来たので。」

「友達?」

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