年上同期の独占愛~ずっと側に
「はい。・・・友達、です。一人暮らしの。高熱が出て辛そうだったので看病してました。」

「あぁ、そう。お友達は良くなったの?」

「だいぶ。まだ微熱があったので今日はお休みするように言ってきたんですけどね。」

そっか、と呟き、一緒にエレベータを待つ。
これ、とコーヒーを渡してもらい、ありがとうございます。とお礼を言い受け取ろうとすると、あ、やっぱりこぼすと大変だから持つよ、とまた持ってくれた。

フロアに着くと、私の席まで一緒に来てコーヒーを置いてくれた。原さんに、おはようございます、と声をかけて席に着く。

「おはよう。橋本君と一緒なんて珍しいね。」

「駅前のコーヒーショップで会ったんです。」

「今週末、橋本君と出かけるんでしょ?」

急に聞かれて驚き、ちょうど口にしたコーヒーで咽そうになった。

「で、出かけるって言っても、何か買いたいものがあるみたいで・・・」

「橋本君、いいじゃん。優秀だし、野崎さんだけ特別だもんね。」

「特別?」

そう聞き返したところで、原さんは緒方マネージャーに呼ばれて席を立ってしまった。
まあ、同期だし仕事で関りもあるし、最近よく話すほうではあるが、特別扱いされているような気はしない。
まずは約束を破らないように、今週の仕事を終わらせなければ。

一日の業務が終わり、そろそろ帰ろうかという頃、メールの着信があった。神田先輩だ。
今日は一日会社をお休みして、熱も午後には36度に下がったと書いてあった。私に移したんではないかと心配している様子だった。またそのうち飲もうな、と書いてあった。熱が下がって良かった。
ちゃんと話せてよかった。

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