年上同期の独占愛~ずっと側に
車を止めてモールの中に入ると、結構な混雑だ。雑貨屋さんを見つけてお店の前に行くと、割と賑わっている。歩きながらお兄さんのことをあれこれ聞いた。お兄さんは橋本さんよろいも7つも年上で36歳になるらしい。奥様とは何年も同棲はしていたが結婚はしておらず、今回お子さんを授かったのをきっかけに入籍をしたらしい。
大手鉄道会社にお勤めで、奥様とは大学時代の同級生とのことだ。

きれいな食器類がいいかな、と思っていたのだが長いこと同棲してたのであれば、ほとんどのものが揃っているだろう。具体的に何か欲しいものを聞き出せればいいんだけどな。

橋本さんと一緒に見て回ると、私まで欲しくなってくる。ワッフル焼き器やタコ焼き器など持ってないものもたくさんある。一つ一つ見るのがつい長くなってしまい、私が楽しんでしまってごめんね、と謝ると、全然いいよ、と優しく言ってくれる。

結構時間がかかってしまい、お腹も空いたしお昼を食べよう、と海のほうまで歩く。
海水浴にはまだ早いが、結構な人が出ていて水遊びをしている人も多い。行こうと思っているレストランまで砂浜を歩いたほうが近いんだ、と言って砂浜に降りた。

思いのほか足を取られて歩きづらい・・・。つい遅くなりがちな私を半歩前を歩く橋本さんが気遣ってくれる。

「ごめんね、歩きにくかったね。あそこまで行ったら上に上がろう。」

よろよろと歩く私の手首を掴み、10メートルほど先を差して、階段のほうへ向かってくれる。何とか階段までたどり着き、階段を登ろうとすると、前を歩いている橋本さんが振り向き手を差し出してくれる。これくらになら一人で登れるし、大丈夫、と言って一人で上がろうとすると、いいから、と言って手を掴まれた。
登りきって、ありがとう、とお礼を言うと、いや、っと言って顔を背けられてしまった。ドンくさくて呆れられただろうか。

「ここなんだけど、良い?」

そう言われて連れてこられたお店はカジュアルなイタリアンだった。明るい雰囲気でだけどうるさくなく、店内は満席に近く、どのお料理も美味しそうだ。

「素敵なお店ですね。美味しそうです。」

「うん。職場の先輩に聞いたんだ。すごく美味しかったっていってたから。」

「楽しみです。」

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