年上同期の独占愛~ずっと側に
「やっぱり山元さんと付き合ってないんじゃない?萌々香は何でそう思ったの?誰かに聞いた?」

「随分前だけど・・二人で腕組んで仲良さそうに歩いているところ見かけたんだよね」

「本人たちには聞いてないんでしょ?」

それに、と亜都子が続けて言う。

「旦那に聞いたんだけど、少し前まで同じ研究室にいた後輩と付き合ってたってことは言ってたけどね」

「尾崎さん、最近は橋本さんと会ってないんでしょ?山元さんとも一緒だったんだっけ?」

「そうみたいだよ。健人と橋本さんと山元さんと、元カノ?みんな知り合いみたい。」

だとしたら山元さんも知り合いということか。元カノと知り合いというのはどうなんだろう。お互い気まずくないのだろうか。
・・まあ、でも二人とも大人だ。私みたいに、過去がどうのこうの、とキーキー言ったりはしないだろう。

亜都子と2人お店を出て、橋本さんが待つバーに向かう。
ウキウキと歩きながら、亜都子が弾んだ声で言う。

「食事の時飲まなかったから、好きなだけ飲んでいいかな。ホテルすぐそこだし」

「もちろん、いいよ。今日は橋本さんも一緒だし、酔っぱらってもホテルまで担いで行ってくれるよ。」

笑いながら私が言うと、そこまで飲むつもりないよー、と言いながらも、その時はよろしく~、とご機嫌に笑ってる。

やっぱり亜都子はいいな。
一緒にいて気持ちがいい。私のことを心から心配してくれるが、わかったような態度をとらないし、くどくど説教じみたことも言わない。
それに、亜都子だって林君のことはショックだったはずだ。
最初は私の話を信じなくらいだったし、林君に対しての怒りも大きかった。私よりも同期会に行きづらくなるのではないか、というくらい、他の同期がいる場にも関わらず責め立てたと後から小野君がチラリと言っていた。
私のことを、というより、亜都子自身が裏切られた気持ちだったのではないか、と小野君が言っていた。

そんな亜都子が望むなら、好きなだけ飲ませてあげよう、と、こんなことくらいでは恩返しにも何もならないが、そんなことを思いながらBarに向かった。

Barに着くと、橋本さんは一人でカウンターに座り、すでに飲み始めていた。
マスターが気を遣って、奥のソファへどうぞ、と言ってくれたが、亜都子がカウンターで飲みたい、というので、そのまま亜都子と並んで座った。

< 187 / 228 >

この作品をシェア

pagetop