年上同期の独占愛~ずっと側に
バスルームに来たものの、バスタオル借りなきゃ、どこだろう・・と棚をあさってみたが見当たらない。仕方ない、橋本さんに聞くか、とバスルームから出ると、目の前に橋本さんが立っていた。

「はい。タオルと、着替え。」

バスタオルと洗い立てのスエットの上下を渡されて、頭をポンと叩かれる。橋本さんの顔を見ると苦笑いしながらため息をついた。

「ごめんな、余裕なくて。怖がらせた?」

「ううん、恥ずかしかっただけ。こっちこそごめんなさい」

橋本さんは、チュっと私のおでこに口づけると、ゆっくりどうぞ、と扉を閉めた。

先にシャワーを借りて、入れ替わりに橋本さんがシャワーへ行くと、ソファで待っているか、ベッドで待っているか迷い、キッチンのところで立ち尽くしてしまう。

さっきのように、明るいままソファに押し倒されるより、寝室を暗くしてベッドで待っていたほうがいいだろう、と思い、寝室へ向かう。
カーテンをきっちり閉めて、電気も消して、よし、これならほとんど見えないな、とベッドの上に座って待つ。何だかやる気満々みたいで恥ずかしいが、明るいままでされるよりはいいだろう。

日ごろ職場でも顔を合わせる橋本さんと、こういう関係になること自体、信じられないのだ。裸で抱き合うなんて、想像しただけで恥ずかしくて緊張して、上手くいくだろうか、と不安でしょうがない。
心臓がドキドキして破裂しそうだ。そもそも大した経験もないし、橋本さんを満足させることができるだろうか。とにかく粗相をしないように、とかそんなことばかり考えてしまう。

最近関係のあった林さんと神田先輩のときは、お酒を飲んで酔っていた。
今日も飲んでいるはずなのだが、すっかり素面になっている。
処女じゃあるまいし、何でこんなに緊張しているのか、もはや自分でもわからない。

バタン、と音がして寝室のドアが開く。

「萌々香?」

「うん。」

「リビングにいないからびっくりした。」

「・・・うん。」

「真っ暗だな」

橋本さんが電気をつけようとした気配がしたので、慌てて言った。

「あ、電気付けないでほしい。」

ベッドがミシっと鳴り、橋本さんが隣に座る。

「暗すぎじゃね?」

「ごめん、暗くないと無理・・・」

「ん。わかったよ。」

そういうと優しくキスしてくる。さっきのソファでのキスは食べられそうな勢いだったが、今はとても優しくついばむようなキスだ。
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