年上同期の独占愛~ずっと側に
亜都子は気にしてないようだったが、朝起きたら本人が思っている以上に妊婦は大事にしないとダメだと母に随分怒られた。ひたすら猛省していると、ピンポーンと来客を告げる音がした。

私が出迎えると、尾崎さんと橋本さんが並んで立っていた。

橋本さんと目があうと、にっこり笑ってくれる。相変わらず素敵な笑顔に思わず見惚れそうになるが、尾崎さんに、お久しぶりです、と挨拶をする。

昨日、亜都子に夜更かしさせてしまったことを詫びて、できるだけ今日は休ませてほしい、とお願いした。
尾崎さんも心配して亜都子に様子を聞いていたが、亜都子がへっちゃらな様子なので、少し安心したようだったが、私は反省しっぱなしだった。

母が父を呼んでくると、橋本さんは居住まいを正し、お付き合いをさせていただいます、と挨拶してくれた。
ご家族のこと、今の仕事のこと、転勤先のこと、学生時代に学んできたことなど、簡単に自己紹介までしてくれて、私のこともすごく褒めてくれた。

こんなにきちんと挨拶してくれるとは思わず、驚きもあったが、感動してしまい、涙がでそうになる。
そんな私に横にいた亜都子が、よかったね、と微笑んでくれる。

夕食は4人で外で食べてくるね、と橋本さんと亜都子夫婦と家を出て、橋本さんの車に乗り込むと、尾崎さんが駅まででいいよ、と言い出した。

「食事は?」

「今日は亜都子の実家に行くから、そっちで食べるよ。亜都子も少し休んだほうがいいし。」

「・・・そうだね。ごめんなさい。」
昨日夜更かしさせてしまったことを思い出し、慌てて謝った。

「違う違う。そういう意味じゃないよ。亜都子は少し動きすぎなんだ。家にいるときもほとんど休まないんだ。少し休まないと体にさわるから。」

じゃあ、今度は生まれてからかな~、と、出産がんばれ~と心から祈り、亜都子たちと別れた。

二人になると橋本さんがギュっと手を握ってくれたので、私もギューっと握り返し

「今日はありがとう。あんなにしっかりと挨拶してくれるとは思ってなくて、すごく嬉しかった。」

「どういたしまして。萌々香がなかなか会わせてくれないからさ。俺嫌わてるのかと思ってたぞ。」

そんなわけないのに!そんな風に思わせてしまっていただなんて知らなかった。

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