年上同期の独占愛~ずっと側に
彼女の就職先は一般企業であるものの研究室勤務のため、俺よりも遥かに時間が不規則だ。それもあり、二人で食事に行くのも1か月に1度のペースになっていた。そのことに対して恋人が不満に思い、もう少し私に合わせてほしい、できないなら一緒に住みたい、と言われたことからギクシャクし始めた。
当時の彼女は同じ職場の山元さんとも知り合いのため、相談に乗ってもらったこともあった。
間もなくして恋人とも別れ、ますます萌々香のことが気になっていた。

萌々香が恋人と別れたと原さんから聞いたときは、不謹慎ながら飛び上がるほどうれしかった。これからは徐々に距離を詰めて振り向かせてやる、と意気込んでいたのだが、原さんに慎重にな、と釘を刺された。

結婚の準備もかなり進んでいたのにも関わらず、ひどい別れ方をしたらしく、傷も深いらしい。原さんは彼女が泣いている姿を何度も見たと言っていた。
確かにその頃、少し体調が悪そうだな、と思ったこともあったが、仕事はきっちりこなしていた。周りにいた原さんたちのサポートが良かったのか、いつもの綺麗な印象が崩れることはなかった。

飲み会の幹事を一緒にやるように根回ししたり、お昼に誘ったり、警戒されない程度に近づく努力はしていたから、原さんや山元さんには俺の気持ちはすっかりバレていた。そのおかげで萌々香の様子が知ることもできたのもあり、助けられていた。

そんなある日、社食で見知らぬ女性が結構な剣幕で萌々香に詰め寄っているのを見かけた。
少し年下のように見えるが、勢いが激しくて野崎さんも気圧された感じに見える。近づくと話が聞こえてきたが、どうやら同期の林のことで揉めているらしい。しかも野崎さんの元カレと面識があるのか、そのことまで持ち出し、かなりひどい言葉で萌々香のことを侮辱している。

林か・・・同期で同じ研究職だということは知っているが、あまり面識はない。
確かに萌々香と研修の時から一緒のグループだったのもあり、たまに一緒にいることころ見かけたことがあった。まさか付き合っているのか・・・恋人と別れたばかりで、まだ新しい恋には踏み出せないとばかり思っていたが・・・

周りの注目も集めだしたので、仕事の用事を装って萌々香を連れたすと、見るからに安堵した様子だった。
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