年上同期の独占愛~ずっと側に
俺は原さんには彼女に対する気持ちは隠さずにしてきたし、言われて当然だと思った。
お昼に誘っても二人きりでは中々応じてくれず、二言目には原さんや山元さんと一緒なら、とすぐに言う。それで理由を付けて何度かはお昼に行った。

彼女の誕生日の日に、同期の小野と彼女が二人で一緒にいるところをに偶然会った。俺以外の同期なら二人でも会うくせに・・・
それに、誕生日とか。俺が真っ先に祝いたかった。しかし、彼女はまだ俺のものではない。早く俺のものにしたい。どうしたらいいのかさっぱりわからない。

誕生日を向かえた彼女は、ひどく元気がない。今日の夜は予定があるのだろうか。誘ってもいいのだろうか。そんなことを考えているうちに終業時間になり、気づいたら彼女は退社していた。

「お疲れ様です。」

すっかり肩を落としている俺に、山元さんがニヤニヤしながら話しかけてきた。

「ああ、お疲れ」

「橋本さん、疲れてますね。野崎さんとはどうですか?」

「どうもこうも・・・話すチャンスすら、ほとんどない。」

山元さんは、あらあら・・と言いながら苦笑いしている。

「今日誕生日なんだ。お祝い・・・誘いたかったのに、気づいたらもう帰ってた。」

「へえ、彼氏と約束ですかね」

「え?野崎さん、彼氏いるの?」

「え~、あれだけの人なら彼氏の一人二人いてもおかしくないじゃないですか。」

ったく、想像で言うなよ。マジで焦った。

「今は、誰とも付き合ってないと思うんだよね。だから誘いたいんだけど、どうやったりいいのかわからん」

「平日の夜より、休日誘ってみたらいいんじゃないですか?
橋本さんは特別感をもっと出さないとダメですよ。優しくしてくれる同期って括りで終わっちゃいますよ?」

休日かあ・・・
そんなこと言われても、お昼を誘うにも上手くいかないのに、休日なんて誘ったところで応じてくれるだろうか。

そう心に決めた矢先、山元さんと外出先から戻ってくる途中、駅で彼女が男といるのを見かけた。
スーツは来ているが、派手な印象で30過ぎくらいか、独特な雰囲気の男だ。どこかの金持ちのお坊ちゃんか・・そんな印象の男だ。
わが社の人間ではなさそうな雰囲気だが、彼女の知り合いなのだろう。男のほうが野崎さんを見つめる目がやたらと甘い。しかし、萌々香の表情はどちらかというと固く、恋人同士という雰囲気は感じられない
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