年上同期の独占愛~ずっと側に
そんなことを考えながら歩いていると、隣の山元さんがクスクス笑いながら話しかけてきた。

「気になってしょうがないって顔してますね。」

山元さんにはすっかりバレているので隠したってしょうがない。俺はすっかり不貞腐れて面白くないのを隠す気もない。

「プロジェクトの人かな」

「ん~、どうですかね。うちの会社っぽくはないですね。だけど、どっかで見たような気がするんですよね・・」

「彼氏かな?」

「会社までお迎えに来るなんて、そうかもしれませんね。」

ふふ、っと笑いながら言う山元さんを睨みながら、はあ~、とため息をついた。

「も~、そんなに気になるならサッサと告白しちゃったほうがいいですよ。野崎さん、結構モテるみたいですよ。」

だよな。そうだよな。そこまで美人ではないが、彼女と接すれば彼女の魅力に惹かれる男はたくさんいるだろう。外見の印象と喋ってみてからの印象が違いすぎてたまらなくかわいい、と思うのは俺だけではないだろう。

そろそろ本気で迫ってみようか。
林のときのように、モタモタしていてかっさわれたらたまったもんじゃない。

最近一人でよく飲みに行っているというので、強引に一緒に行く約束を取りつ行ける。
たまたま、一緒に外出した帰りに、よく行くBarでランチもやっているというので、連れて行ってもらったが、中々渋いお店だ。大通りから一本入ったところなので人目につきづらいが、彼女の口ぶりだと、常連が多く、素敵なお店だということがわかる。

夜、待ち合わせの時間にBarに行くと、彼女はすでに飲み始めていた。
軽いカクテルをマスターに作ってもらったというが、明らかにいつもの彼女と違う。酔ってないと言い張っているが、俺からみたら十分酔っているし、危なっかしい。

いつもこんな様子なのか・・・無防備もほどがあるだろう。
日頃のもどかしいほどの警戒心はどこへいったのか・・・
一口どーぞ、と自分の飲みかけのカクテルを差し出してくるし、フルーツを俺の口に持ってきて、唇についてしまったのをさっと指で拭いてくれて、その指を自分の唇へもっていきペロリと舐めた。
潤んだ目と赤く染めた頬でそんなことをされたら、勘違いする男はたくさんいるだろう。

もう一人では飲みに行かないでほしい、と散々お願いし、兄貴の結婚と出産祝いを送ろうと思っていたのだが何を買っていいのか迷っているのを口実に休日の買い物に誘った。

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