年上同期の独占愛~ずっと側に
しかし、それよりも、私は今日中に作成しなければならない資料のことで頭がいっぱいだ。

今日は二年半付き合っている彼氏と食事の約束をしている。この土日はお互いの都合で会えなかったので、今日は会えるのを楽しみにしていたのだ。少し遅くなるかもしれないが、絶対に彼と食事に行きたい。

三歳年上の蛯川亮とは、後輩の弘美の同期の飲み会にたまたま参加したときに、同じくたまたま参加した彼に会ったのが最初だ。同じ会社で働く彼だが、ベンダ相手の営業担当で、勤務するビルも違う。お互いすぐに好きになり、付き合うことになった。とにかく優しい彼は私のことをいつも甘やかしてくれる。私もつい甘えて、わがままばかり言ってしまうことも多いが、彼はどこまでも優しく、いつも私のことを考えている。

そんな彼に4か月前、プロポーズされ、結婚の準備を始めようとしているとき、私の今回の転勤があった。いつも愚痴を聞いてくれて励ましてくれる彼に支えながら、慣れるまでしばらく待とうか、と入籍や結婚式は最短でも半年以上は先にしよう、ということになっている。

お互いの両親への挨拶は既に済んでいて、彼の両親も私のことを萌々ちゃん、いつでも遊びに来て、と、とても良くしてくれている。私の両親も亮のことは気に入っていて、力仕事など、頼りにしているところがある。

しかし、4か月前にプロポーズされたとき、私の中で小さくわだかまっていることが少しだけ不安にしていため、今回の私の移動で少しだけ結婚を先延ばしにできたことは少しホッとしているところもあった。

彼はまだ28歳なのだが、バツイチなのだ。入社してすぐ、学生のころから8年付き合っていた彼女と結婚して、1年もたたずに離婚してしまったようだ。私と出会った頃は離婚してから3年近くたっていた。

離婚した理由を一度だけ聞いた時、付き合っていた頃は楽しかったのに、結婚したらお互いの色々が気になるようになって一緒にいるのがつらくなってしまった、と言っていた。

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