年上同期の独占愛~ずっと側に
「私と別れて根岸さんと付き合うことにしたんだよね?」

「・・・」

また黙る。
ちゃんと話そうと思っていたのに、つい最初から責めるような口調になってしまう私も悪いんだろうけど、どうしても亮と話すと感情的になってしまう。弘美から聞いた、亮が元気そうにしてた話や、先日懇親会の後に見かけて陽気に酔っぱらっている姿が頭をよぎり、何で私ばかりこんな目に合わなくてはならないのか、と改めて悲しくなる。

「来週の金曜日、両親が祖父のところに出かけていないから、話に来られる?」

わかった、と言って亮との電話を切った。

翌週の金曜日の仕事終わりに、家の最寄りの駅で亮が待っていた。一緒に私の家に帰りすぐに話をする。

すると、亮は今までの私に対する不満を言い始めた。車を売ったことを私が亮の両親に言いつけた、や、大工さんと家のことを両親を通さず私が勝手に決めてしまった、結婚式場はもっとこういうところを選びたかったのに、など・・・延々と話している。私もそれはごめんね、や、それにはこういう事情があった、など、所々口を挟むが、基本的に一方的に亮が話をしていて止まる様子がない。20分ほど続いたところで、ようやく私が口を開いた。

「今言ったような不満があったから、根岸さんと浮気をした、って言いたいの?」

「根岸さんっていう人は関係ない。何度もそう言ってる」

まだ言うか・・・まあ、ここまできたら亮が今更認めるわけもないのだから、根岸さんのことを問い詰めても無駄だろう。私に殴ってでも取り返そうとしたネックレスのことは私も根に持っているので、つい質問してしまう。

「あのネックレス、そんなに大事?」

「・・・結構高かったし、気に入ってるから・・・」

「亮のネームも入ってるし、私にくれたらすごく大事にするよ。同じくらいの金額の私のネーム入れたもの、私からプレゼントするから亮はそれを大事にして?」

「・・・・・」

「指輪一緒に見に行く約束してたから、まだ用意してないでしょ?」

「うん・・・」

「指輪いらないから、そのネックレス頂戴」

「・・・・・」

やっぱり答えない・・・。そりゃそうだよね、100%根岸さんからのプレゼントかもしくはお揃いで買ったのだろうから・・。
はあー、とため息をつき、全然核心に触れようとしない亮に対してイライラして、直球で聞いてみる。

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