年上同期の独占愛~ずっと側に
一時期は好きだった人と『今日だけ』の関係にはなりたくない。

「前も、こうやって抱きしめたの、覚えてる?」

「・・・覚えてるよ・・・。」

「前も思ったけど、痩せて見えるのに、こうやって触れると、フニャフニャしてて気持ちいいな。」
林君はふふっと笑いながら私の耳タブに口をうずめてくる。

「・・・・・」

「一緒にいさせて。明日の朝早い時間にちゃんと帰るから」

私が黙っていると、林君が私の顔を左手でつかんで右手で後頭部を掴み、口づけてこようとする。私は咄嗟に手を伸ばして林君の顔を覆い、距離を取りながらやっとの言葉を発する。

「明日のUSJ楽しみだし、もう休むよ。コンビニで飲み物とか買いたいから、そこまで一緒に行こう」

「ねえ、萌々ちゃん・・」

「送ってくれてありがとね」

「・・・ねえ、俺、萌々ちゃんと一緒にいたい。ダメ?」

「・・・うん。コンビニ、行こう。」

林君は、わかった、と呟き、私から離れると、床に転がってるカバンを持ちドアに向かおうとするが、不意に振り向き、私の腕を掴むとキスしてくる。肘で林君のお腹を押して隙間を作ろうとするが、ガシっと抱えられなかなか離れない。ようやく唇が離れると、林君が私の腕を掴んだまま顔を覗き込み囁くように聞いてくる。

「どうしても?やっぱりダメ?」

私はお財布と携帯を持ってドアに向かい、

「コンビニ行こう?」と先にドアから出ると、林君も「うん」と俯きながらついてきた。

「萌々ちゃん、俺・・・」

うん?と顔を上げて林君の顔を見つめるけど、それっきり何も言わない。しばらく待ったけど無言のまま立ったまま俯いている。
私は、はぁ、とため息をついて

「忘れ物ない?閉めるよ」

そう言ってドアを閉めて、エレベータを降りる。

ホテルの隣にあるコンビニの前につき、林君に向き直る。

「買い物するから、ここで。気を付けて帰ってね。」

「ここで待ってるから買い物してきて。危ないからホテルに入るの見てから帰るから」

「大丈夫だから。ここで。今日はありがとね。」

「・・・ごめん・・・。もう部屋に着いていったりしないから、買い物してきて。待ってる」

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