年上同期の独占愛~ずっと側に
「でも、結局付き合ってないし、私はいいな、って思ってた時もあったけど、林君から何か言われたわけじゃなかったよ」

「林君は萌々香のこと好きだったよ。それは間違いないと思うんだけど、大阪に転勤することは入社してからすぐ言われてたみたいだし、安易に付き合うってことができなかったんだろうね。」

「だとしてもさ、昨日みたいにお互いの気持ちの話は全くしないで、強引なことするのが意外でさ。私に気持ちがあるなら、もうすぐ東京に戻るんだから、それから前みたいに二人で会いたいなって気持ちはなかったのかな」

以前は付き合ってはいなかったものの、二人で休日にランチしたり映画を観に行ったりして楽しかった。林君だって覚えてるはずなのに・・。昨日の林君はちょっと違って少し怖かった。

「確かに林君らしくないというか、意外だね。機会があったら一度話してみなよ」

「機会があったら・・・ね。ちょっと気まずいかな。林君もたぶん私とはもう話したくないんじゃないかな」

全力で拒否っちゃったし・・。林君は同期の中でも一番好感を持っていたのだけど、このまま気まずくなってしまうのかな、と思うと少し寂しかった。

そのあと一日中USJを満喫して、亜都子の車に戻ったのは22時を回っていた。

「楽しかったねー。亜都子のおかげ。また来るね」

「いつでもどうぞ。健人といっしょにのんびり回るのも楽しいけど、萌々香と次々忙しく回るのも超楽しい。ありがとね。」

「ふふ。今度はディズニーも一緒に行こうね」

そういえば、一度だけ林君と一緒にディズニーにも行ったな、と亜都子とUSJを楽しんでいたころは忘れていた林君のことをまた思い出してしまった。
あれから林君から連絡はない。私からも連絡できないままだ。本当にこれっきりかな・・・と思うと少し寂しいが仕方がない。

明日、亜都子と尾崎さんと3人でランチの予定だ。チェックアウトの時間に迎えにきてくれることになり、ホテルの前で別れた。
一日歩き回って大分疲れたけど、本当に楽しかった。大阪に来てよかった。林君のことは驚いたけど、亮とのことはほとんど思い出さなくなっていた。亜都子とたのしく過ごせたお陰だ。

翌日のお昼近くにチェックアウトを済ませてホテルのロビーで待っていると、亜都子と尾崎さんが車で迎えに来てくれた。

「おすすめのお好み焼き屋さんがあるんだけど、そこでいい?」

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