年上同期の独占愛~ずっと側に
あれから随分たつし、付き合っていく中で元奥さんの影も見えることがなかったので、私もほとんど気にならなくなっていた。
しかし結婚の話が具体的になるにつれて、前の結婚式はどんなだっただろうか、新居はどんな感じだったのだろうか、とか気になるようになってしまっていた。結婚式場は被るのが嫌で、彼のご両親に聞いたら、少し驚いていたものの、隠すことなく教えてくれた。

最近は仕事が一杯いっぱいなのと、彼の以前の結婚生活の不安から、精神的に少し落ち着いてからの結婚準備をしたほうがいいと思っている。

その日の仕事を何とか終わらせ、19時に会社を出る。亮にはあらかじめ連絡をしてあったので、私の職場の側まで来てくれていた。

「萌々!お疲れ様」

「待たせちゃってごめんね」

亮は私を見つけるなり、微笑んで駆け寄ってくる。亮はとにかく優しい。少し待つくらい何ともないから、と、いつも私の時間に合わせて会いに来てくれる。

「お腹空いたよね?この辺で食べる?」

「そうだね。この前行ったカレーにする?」

お、いいね、と亮が乗り気だったので駅の側のカレー屋さんまで歩く。
会社の側なので、手をつなぐのは我慢してくれているが、私にピッタリと寄り添うように歩く。180㎝近くある彼はいつも私の顔を覗き込むようにしながら話す。

「仕事どう?大変そうだけど」

「まだ全然慣れなくてね。」

今日はこういう会議でこんなことがあった、と他愛もない話もいつも頷きながら聞いてくれる。そして亮も、今日はこんなベンダとこんな仕事をした、と、比較的何でも話してくれる。

「土曜日の結婚式どうだった?」

「すんげぇー疲れたよ」

土曜日は亮の学生時代の親友、三上さんの結婚式だった。大手メーカーに勤めていて、社内で知り合った後輩の女の子と結婚した。私も何度があったことがあり、ダブルデートも何回かした。私も二次会に誘われていたのだが、私も同期の二次会に参加することになっていて三上さんの二次会には参加できなかった。

「土曜日は三上が潰れるまで二次会会場で飲んで、三上を希美さんのところに送り届けたあと、飲みなおして、結局朝の8時くらまでお店にいたんだぜ。」

「えー!すごいタフだね、みんな。ずっと飲んでたの?」

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