年上同期の独占愛~ずっと側に
私は堪らず小野君を睨みつけると同時に、涙が流れた。それを見た亜都子が焦った顔をして、小野君と林君を交互に見つめる。

「萌々香、大丈夫?あっち行こうか」

亜都子が何かを察したように、私の手を引き立たせてくれる。しかし、私はもう無理だった。このまま同期会に参加するのは無理だ。

「ごめん。今日は帰る。
亜都子、明日か明後日、ランチしよ。連絡する」

「うん、わかったけど・・。萌々香、大丈夫?」

返事することもできず、俯きながらうなずくと、その場から走って逃げた。

「萌々ちゃん!」

大きな声で小野君が呼ぶのが聞こえたが、振り返らずに走ってその場を離れる。
お酒飲んでなくてよかった。
こんなに走ったら、間違いなく吐いていたところだ。

走りながら、だいぶ泣いてしまった。涙が引いてから電車に乗ろう、と駅そばの緑道のベンチに座って落ち着こうとすると、後ろから、ガシっと肩を掴まれた。
息を切らしながら追いかけてきた小野君だ。

「萌々ちゃん、聞いてたよね。でも違うんだ」

「・・・・」

「あのね、萌々ちゃん・・」

「もう、いいから」

「よくないよ。本当にごめんね。でも違うんだ。」

「・・・聞きたくない。あっち行ってほしい。」

今はとにかく一人になりたい。男の子の同期の中では一番仲が良いと思っていた。酔っぱらった同期に絡まれても、彼氏のこと、変に冷やかされてもいつも庇ってくれたのは小野君だった。それなのに、私のことチョロいとか・・・とてもじゃないが今は受け入れられない。

「・・・ごめん。本当に。萌々ちゃんのこと傷つけるつもりはなかったんだ。
林はずっと萌々ちゃんのことが好きだったんだ。だから俺・・」

「だから何?一回くらいやっちゃえよ、って?私なんてチョロいもんだって?」

「・・・ごめん。つい、悪ノリしてチョロいなんて言葉使っちゃったけど、萌々ちゃんのことチョロいなんて思ってないから。」

「・・・・・」

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