年上同期の独占愛~ずっと側に
2か月がたち、新年度を迎えた。
支店にいる同期たちは、後輩が入ってきたり、転勤があったり色んな変化がありメールが飛び交っていたが、私がいるプロジェクトは元々3年計画だ。
大きな動きもなく、引き続き業務が行われていた。そんな中、林君が予想どおり東京に転勤になり、本社の商品開発部に配属になった。
橋本さんが元々いた部署で、今私が勤務しているビルだ。フロアは違うが、お昼などもしかしたら社食で会うかもしれない。

大型連休が間近になってきて、同期の何人かでキャンプに行ったり、春スキーに行ったりする計画がでている。いくつか誘われたが、今度の連休は亜都子と尾崎さんが泊まりに来てくれることになっている。
それに新居を建ててくれた大工の棟梁や材木谷さんの社長が遊びにきてくれることになっている。

あのまま亮と上手くいっていたら、蝦川さんご両親も一緒におもてなしできたのだが、仕方がない。蝦川さんとご縁がなくなっても棟梁たちは遠慮なく遊びに来てくれている。母がいつもお茶をだし、よい関係を築いてくれたから。今後も家が古くなってきたときに、またお世話になるかもしれない。末永くお付き合いしていきたいと思う。

あれ以来、林君とは話していない。メールや電話などでの連絡もなかったのだが、来週から連休に入るというタイミングでメールが入った。今週のどこかで食事を、とのことだった。悩んだが、断る理由も思いつかず、いい機会なので小野君も一緒に、と誘ってもらい、3人でごはんに行くことにした。

3人でご飯に行く約束をした金曜日、定時でオフィスを出ると、同じビルに勤務する林君がエントランスで待ってくれていた。

「久しぶり。」

「久しぶり。転勤、大変だったね。落ち着いた?」

「だいぶ落ち着いた。・・・後で話そうと思ったんだけど、今実家にいるんだ。しばらくはそうなると思う。」

彼女と一緒に住むっていう話は、無しになったということか。
前に林君は、小野君には全部話している、と言っていた。小野君がいるところでその話になっても大丈夫、ということだろうか。
小野君と会うのも久しぶりだ。同期会で揉めたっきり会っていない。小野君とはこれからも仲良くしたいから、ちゃんと仲直りしたい。

お店に着くと、既に小野君が来ていた。私と林君が近づいていくと、小野君ががバッと立ち上がって、私に抱き着いてきた。

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