年上同期の独占愛~ずっと側に
「うん。今日は萌々ちゃんと仲直りしたくて来ただけだから。またね。」

「じゃあ、またね。」

席を立って入り口のほうまで小野君を見送ると、小声で私に告げた。

「林とちゃんと話したほうがいいと思う。元々、萌々ちゃんだって、林のこといいなって思ってたでしょ。」

「それはもう随分前のことだし、少し混乱してる」

「それはわかるけど、ちゃんと話て。」

「うん。わかった。ありがと。」

小野君がお店から出て行くのを見届けてから、林君の待つ席に向かおうとすると、橋本さんと行き会った。

「もう帰るの?」

「ううん。もう少しいます。小野君が帰ったのでお見送りしてました。」

「そっか。だったら合流する?商品開発部出身の人も多いから、林も退屈しないと思うよ。」

「うーん。今日は遠慮しておきますね。私たちもあまり長居するつもりないので。」

「ん。了解。じゃあ、また」

そう言ってトイレのほうへ向かって歩いて行ってしまう。席に戻ると林君が心配そうに待っていた。

「遅かったね。」

「ごめんね。小野君を見送ったあと、橋本さんに会って少し話してたから。合流する?って誘ってもらったけど、断っちゃったけど、大丈夫だった?」

「もちろん。せっかく萌々ちゃんと2人っきりになったのに。」

ニコっと笑って言う林君に、私も吊られて笑顔になってしまう。こんなにはっきり私に好意を示してくれる林君は、新入社員のころ二人で会ってた頃を考えると別人みたいだ。あの頃は、はっきり言って歯がゆかった。いっそのこと私から告白してしまおうか、考えたこともあるが、やはり大阪に行ってしまうことが引っかかって告白できなかった。

「この前カフェで話したとき、自分の気持ちばかり押し付けてちょっと強引だったと思う。ごめんな。
彼女とちゃんとしたんだ。結婚はできないし、付き合いを解消したいってちゃんと伝えた。だから前みたいに、2人でたまに一緒にでかけたり、食事したりしたいと思ってる。誘ってもいい?」


「うん。林君も忙しいと思うし、時間の会うときがあったらね。」

付き合うことをいったん保留にしてくれた林君に、素直にまた一緒に遊べたいいな、と思えた。

< 87 / 228 >

この作品をシェア

pagetop