年上同期の独占愛~ずっと側に
宣戦布告
それから何度か、林君と会社帰りに待ち合わせして食事をしたり、休日にはランチをしたり、車でショッピングモールまで買い物に行ったりした。新入社員のころ二人で会っていたころより、さらに優しくしてくれるし、気遣ってくれる。
何より私への好意を隠そうともしないで接してくる。でも、口説かれるとかそんな感じでもないのだ。とにかく紳士に接してくれる林君に私も徐々に惹かれていった。

そんな中、お昼のタイミングが原さんと合わず、一人で社食でお昼を取っていた時、こんにちは、と声をかけてきた女性がいた。見たことのない人だ。プロジェクトの人ではなさそうだ。総務か経理の人かな・・・と勝手に想像しながら軽く会釈をする。

「野崎萌々香さんですか?」

「はい」

返事しながら立ち上がって挨拶をする。

「立花と申します。お昼中突然すみません。話しかけておいて何ですけど、どうぞお昼続けてください」

「はあ。あ、でもほとんど終わったので大丈夫です」

「港北支店のベンダ事業部にいる立花と申します」

「港北支店・・・」

亮と同じ支店だ。嫌な予感がした。立花さんは何故私に話しかけてきたのだろう。何の用だろう。亮のことだろうか。

「そうです。港北支店のベンダ事業部。蝦川さんと一緒にお仕事させていただいています。」

「・・・・・そうですか。立花さんは今日はどうしてこちらに?」

「野崎さんはプロジェクトの統括にいらっしゃるんですよね?今日の午後からプロジェクトのベンダ部門と打ち合わせがあるんです。」

「そうですか。私はベンダ部門とはほとんど接点がないもので。」

「ええ。知ってます。蝦川さんから聞いています。
それにしても、蝦川さんの彼女さんって想像と違ってました。びっくりです。」

「あの、私もう蝦川さんとはお付き合いしてなくて・・・」

「もっとバカそうな感じの人かと思ってました。野崎さん、見た目しっかりしてそうだし仕事できそうじゃないですかー」

私の質問には答えず、語尾を伸ばしながらしゃべる目の前のこの女性、一体何者なんだろう。やけに攻撃的だが間違いなく初対面だ。

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