年上同期の独占愛~ずっと側に
そう言い捨てて、トイレへ走った。幸い誰もいなかったトイレの中で、ひとしきり泣いた。頭の中がぐちゃぐちゃで何がショックだったのかわからないが、とにかく悲しかった。
亮が私と付き合いながら立花さんを口説いていたこと、派遣さんに手をだしまくっていたこと、今となってはもうどうでもいいが、やはりショックだった。それに、立花さんに亮の悪口を言われたことも・・・・・。

林さんとは何度か二人で会っているが、付き合ってはいない。それを彼女に伝えたところで何も変わらないだろう。林さんは立花さんと別れるときに、私の名前を出したのだろうか。小野君の名前も出ていたし、名前を出さなくても、周りに聞けば私であることはわかってしまっただろう。

これからどうなるか。立花さんはまた私に接触してくるだろうか。来たとしても、あんな風に一方的に攻められても何の解決にもならない。
私がもう林君とは二人っきりで会いません、と言い切ればいいのか。最近林君と一緒にいることが増えて、彼の優しさに触れ、色々あったけど、信じてもいい人なのかも、と思い始めていた。恋人同士になれれば、幸せになれるだろう、と思い始めていたことろだったが、このまま林君と会ってもいいのか疑問だ。

ふと気が付くとお昼休みをとっくに過ぎていた。早く行かなきゃと思うものの、涙がすぐには止まらない。化粧直しもしたかったが、化粧ポーチも机の引き出しの中だ。すると、入り口から私を呼ぶ声が聞こえた。

「野崎さん、いますかー?」

「はいっ!」

「あ、よかった。これ、机の中から勝手に持ってきちゃいました。」

山元さんがそう言いながら、私の化粧ポーチを手渡してきた。

「ありがとうございます。でも、どうして・・」

「橋本さんが、もしかしたらまだトイレにいるかも、って。具合大丈夫ですか?
仕事も大丈夫ですよ。昼終わりでちょっと確認したいことがあって野崎さん借りてます、って原さんに言っておきましたから。
ふふっ。橋本さん、いつもクールで厳しいことばっかり言うのに、野崎さんには甘いですよね~。」

笑いながら山元さんは言うが、かっこ悪いところを見せてばかりで、情けなくなってくる。橋本さんだけじゃなく、山元さんにまで迷惑をかけてしまった。橋本さんはさすがに恋人の山元さんには何でも頼みやすいのだろう。

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