年上同期の独占愛~ずっと側に
翌日、相変わらず混雑するエレベータホールで、昨日は早く寝たのに何だかダルくて思わずため息がでた。ふと顔を上げると、林君の横顔が見えた。ちょうどエレベータに乗るところだ。思わず前に立っている人の背中に隠れるようにしてしまう。やましいことは何もないのについ隠れてしまった。

エレベータを降りると、橋本さんが前を歩いていた。林君に話をしてくれたお礼を言わなくては、と慌てて追いかける。

「橋本さん、おはようございます。」

「おはようございます。」

「昨日、林君と会いました。気を遣っていただいて、ありがとうございました。」

「いや。俺も迷ったんだけど、やっぱりちゃんと話したほうが良いと思って。野崎さん、自分から言わない気がしたから。」

「すみません、お恥ずかしいところお見せしちゃって。お昼休みにあんなところで何が何だかわからなかったですけど、昨日林君と話せて事情もわかったし、もう大丈夫です。ありがとうございました。」

「大丈夫なら、良かった。」

「はい。朝からお引止めしてすみませんでした。」

じゃあ、また。と言って自分の席の方へ歩き出した橋本さんの背中を見て、相変わらず話をするとき緊張するけど、かなりプライベートなことを知られてしまい気まずいが、仕事はしっかりとやらないと、と気合を入れなおした。

来週にプロジェクトの進捗に合わせて大規模な進捗会議が実施される。そこで人員配置の見直しも大幅に行われるため、資料作成に追われていた。ただでさえ朝から怠くて頭が回らないのに、熱っぽさがが加わり中々作業が進まない。騙しだまし机にへばりついていたが、20時を過ぎる頃には、節々が痛くなってきて、さすがに帰ろう、と、作業のほとんどが翌日に回ることになってしまったが、明日には仕上げて原さんと緒方マネージャーのOKがもらいたい。寒気もひどいので早く帰ろう。

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