裏切り
すれ違いと痴話喧嘩?
梓が勤務先を変えてから
俺達は、すれ違いが
多くなった。
同じ病院の時は
お互いにいる場所が
わかっているから
その場に行けば
会えていたが·······
梓は、夜勤だ、休出だと言い
歓迎会だ、仲間との飲み会だと
一週間、ほとんでいない
休みの日は、夕方まで寝ている。
俺も一人暮らしを
していたから
掃除、洗濯、料理はできる。
今日も自分で飯の準備をする。
何度か話しもした。
注意もした。
だが·····
「いいじゃない、私も働いて
いるのだから、付き合いもあるし
翼君のお金を使って
飲みに行ってるわけじゃないし」
と、いい
「ごめん、もうい~い?
疲れてるから寝るわ」
と、言う始末
俺もめんどくさくなり
「勝手にしろ」
と、言って飲みにでた。
従兄の店に飲みにいく
年の近い従兄なので仲がよい
小さな barだが、
結構客が多いから
俺は、
わりと遅い時間に行くことにしていた。
従兄は、梓を毛嫌いしていて
連れてくるなと
言うから一人で行く事が殆どだ。
飲んで帰ってきた時
マンションの前で
女性と男性が立っていた。
タクシー待ちか、と思っていたが
どうも様子がおかしい
男性が女性のうでを掴んでいて
女性は、痛がっていた
俺が降りたタクシーの運転手も
乗るのか、乗らないのか
気にしている
まぁ、揉めてるみたいだから
面倒なんだろうが·····
男女のもめ事とかに
いつもなら入らないのだが
あまりにも女性が痛そうな
辛そうな顔をしていたので
口を挟んでしまった。
その上、タクシーのトランクを
開けさせ女性のキャリーバッグを
のせてやると
女性も運転手も頭を下げていた。
タクシーが去ると
男性は、その場に立ち尽くしていた。
俺は、男性の横を通り
「余計な事してすみません。」
と、言うと
「ちがうん·····だ····」
と、一人でブツブツ呟いていた·····
「大典、なにやってんの?
私を一人にして」
と、さっきの女性とは
また、違う美人の女性が
男性のそばにやってきた。
なんなんだ?この三角関係は?
まぁ、俺は、タクシーに
乗って行った女性の方が
好みだな
と、考えながら
マンションに向かうと
“ バチ-ン ”
と、音がして振り向くと
女性が男性の頬を叩いていた
「情けない男。
バカみたい」
と、女性は男性から離れ
マンションと逆の方向に
歩いて行く。
男性は、下を向いたまま
その場に立ち尽くしていた。
俺は、男性から
気をそらして
自分の部屋に戻り
シャワーを浴び
梓の顔を見ることも
一緒のベッドに寝ることも嫌で
ソファーに横になりながら
タクシーに乗り去って行った
女性の顔を
何度も思い出していた。