裏切り
9章・・伝える・・
翼side
【話があるから、
今日は早く帰ってほしい。】
と、朝食と一緒に
メモを置いて病院に向かった。
今まで、何度も
話し合いをしたいと言うけど
梓は、忙しいの一点張りだし
探偵の報告も確認した。
確かに、はじめは
無理やりだったかもしれないが
俺は、俺なりに
梓を大事に大切にして
愛していた。
看護師の仕事も忙しいのに
俺のために掃除洗濯
そして苦手な料理も頑張ってくれて
わがままだけど
コロコロ変わる表情も
可愛いと思っていた。
まぁ、元から俺は喜怒哀楽が
解りにくい人間だが。
夜の営みも
若い梓、程ではないが
身体もあわせていたし
もう少ししたら
子供も・・・と
話していた。
俺は、母親がなくなり
父親が一人で暮らしているから
孫を見せて安心させたいと
思っていた。
従兄弟の優は、
付き合いだして梓を
店に連れて行ったが
「次回からは、お前だけで来い」
と、言うほど梓を嫌っていたが
父親は、梓とも仲良くしていた。
子供みたいな梓を娘みたいに
思っていたのか
俺みたいのに嫁いで来てくれたからか
わからないが。
父親は、郵便局に勤めて
1つの郵便局を任されて
退職をむかえるまで勤め
今は、OBとして手伝いに
呼ばれて郵便局に行っているらしい。
そんな親父を安心させたかった。
何とか、一日の勤務を終えて
帰宅して、簡単な夕飯を作り
食べてから風呂に入る。
風呂からでると
丁度、梓が帰ってきた。
早く帰るように言われたからか機嫌が悪く
「なんなの?残業頼まれたけど
断ったら、ムッとされたのよ。」
「ああ?それはすまなかったな。」
「で?なんなの?」
「ああ、夕飯準備したが
食べるか、話しはそれからでも。」
「ええっ、急ぎじゃないの?
もう帰ってきたし。
食べようかな。」
そういう梓に料理を温めて出す。
料理を作ることは
もうないと思うから。