裏切り

夏海side


なんなの?いったい?

ジュエリーショップに
弁護士と名乗る男から
電話がかかってきた。

事務所に来て欲しいと
言われたが
怖いし、なぜ?
と、言う気持ちもあったから
近くのカフェで待ち合わせをした。

千亜季の部屋で
イギリスから戻った
千亜季に大典との関係が
知られてから
大典と連絡が取れない

千亜季がいない間は
なんだ、かんだ言いながら
一緒に食事をして
一緒にお風呂に入り
一緒に寝て愛しあった。
それは、大典の部屋であったり
私の部屋であったりだが
幸せだった。

大典と恋人同士みたいで
ずっと、このままでいたいと
何度も思った。

だけど····やはり···
千亜季には···かてないの····


カフェにつくと
体の大きな男性から
「安部さんですか?」
と、訊ねられて
「あっ、はい。」
と、びっくりしながら答えると
比較的、人がいないとこに
二人で座りコーヒーを注文した。

「早速ですが、
私は、佳山 千亜季さんの
代理人弁護士、奥菜と申します。
早速ですが、あなたは、
千亜季さんのご主人である
佳山 大典さんと不倫をされていた
事に間違いありませんか?」
と、普通の声で語る
目の前の弁護士に焦りながら
回りをみると
近くにお客がいなくても
そんなに広い店内ではないから
聞こえているはず······
チラチラこちらを見ている
男性や女性が·····

「安部さん、どうなんですか?」
と、目の前の熊みたいな
弁護士は言う
「あの~、もう少し
小さな声にしてもらえませんか?」
「はぁ、だから私は事務所に
見えてくださいと言いましたよね。
なのにあなたが、こちらを指定
したのですよ。
声が大きいのは、地声です。
私も次の予定がありますので
早目にきりあげましょう?
再度、伺いますが
間違いないですね。」
と、言われてしまい
「はい。」
「千亜季さんは、ご主人と
離婚をします。
ご主人にも、それ相当の
責任をとって頂く事になっていますが、
あなたにも慰謝料を請求致します。
こちらをご確認下さい。」
と、書類を見せられた。

金額は、300万円と記載されていた。

「ええっ、こんなに?」
「いえ、安いくらいですよ。
あなたは、千亜季さんの
お父さんから受け継いだ部屋を
汚して住めなくしたのですよ。
千亜季さんは、新たな部屋をみつけ
家具家電を新たに購入したり
本来ならもっと請求しても良いほどです。
ですが、あなたには
これ以上の請求は、
無理かと思いまして。」
と、小バカにする言い方をされて
「わっ、わかったわよ。
払えばいいんでしょ、払えば。」
「そうですか?
それでしたら、こちらに記入を
お願いします。」
夏海は、書類にサインをした。
「それでは、10日以内に
お願い致します。」
「えっ?10日?」
「はい、こちらの書類にも
記載してありますよ。」
と、言われてきちんと読むと
本当に書いてあった。

まぁ、ないから払わずにいたら
いいかぁ。
とにかく、ここから早く出たいし
と、思っていると·····

「遅れる事がありましたら、
あなたの上司にもご相談させて頂きます。」
「えっ、そんな。」
「あなたは、それだけの事を
したのですよ。
お分かりでないのですか?
きちんと期日内にお願いします。
確認できましたら、領収書を
発行いたします。
それから、こちらを記入して下さい。」
と、弁護士事務所の
口座の用紙を貰い
千亜季に二度と近づかない
と、言う
接近禁止の書類を出された。

そちらも記入して
立ち上がると
「ここは、こちらで」
と、カフェの注文書を取り
「あんたとあのバカな旦那のせいで、
姪の千亜季は、傷ついたんだ。
適当な事をすると
徹底的にやるからな」
と、耳元で言われた。

はっと、弁護士の顔をみると
弁護士は、ニヤリとして
カフェを出て行った。

千亜季の叔父さん?
そういえば、
奥菜と、名乗っていた。

カフェの回りの人々は、
こそこそとチラチラ
私を見るので

いたたまれずにカフェを後にした。
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