裏切り

会社にも報告した。
社長からは、驚かれたが
仕方がない。
ローズにも伝えたと言うと
「怒り狂ったのでは?」
と、言われて
笑ってしまった。
「だろうな?で、大丈夫なのか?」
と、聞かれて
「まだ、実感がないのか
思っているほど、平気みたいです。」
と、伝えると
「無理するなよ。
何でも、言ってくれて構わない。」
と、言って貰えて
「ありがとうございます。」
と、言った。

夫婦の共有財産はきっちり分けた。
後は、すべての名義を
佳山から奥菜に変えた。
免許証やパスポート、保険関係
口座まで色々と。

父のマンションは売却をして
私に支払うとの事。
大典は、違う所に住むらしい。
哲也おじさんが、
変なやつに買われるのも
嫌だからと知人を紹介したらしい。

大典が、どこに誰と住んでも
私には、もう関係ない事。


今週の土曜日に
私の残りの荷物を片付ける
母と哲也叔父さんが
一緒に手伝ってくれる。

家電も家具も要らない
食器も要らない。

家電や食器は、大典と
悩んで話し合って決めたものばかり
もう、私には必要ない。

家具の一部は、父の物がある。
作業の机や椅子、本棚。

これは、私の部屋にあったものだから
二人は触ってないと思うが
机と椅子は、今の私の部屋には
入らないので母が引き取る事に。

本棚は、私が持って行く
残りの衣類も
大典から貰った物は
全て置いていく
廃棄してもらうつもりだ。

婚約指輪や結婚指輪は、
哲也叔父さんに預けた。
叔父さんが渡してくれると。

片付けが終わり
母と部屋を見回しながら
「母さん、叔父さん
今日は、本当にありがとうございました。
私、又、いちから頑張るから。
ごめんね。母さん、お父さんの部屋を
手放すことになって。」
と、二人に頭を下げると
母さんは、なにも言わずに
私を抱きしめてくれた。

叔父さんは、
「バカっ、千亜季は、
なんにも、悪くない。
ここは、俺の知人が買うから
心配するな。
悪いやつじゃないから。」
と、言いながら
母の腕の中にいる私の頭を
撫でてくれた。

熊みたいに大きな叔父さんだが
本当に優しい叔父さんで
大好きだ。

母さんと叔父さんの
優しさに包まれながら
父の部屋を後にした。
< 39 / 96 >

この作品をシェア

pagetop