裏切り

千亜季side


あの日から、進藤さんとは
毎日ラインをしている。

おはよう
   だったり

お休み
   だったり

何してた?
   だったり

たまには、食事に行ったり
電話で話したり、と。

進藤さんは、
やっぱり、表情が乏しいなんて
あり得ない。

良く笑うし
困った顔も良くする

ガーデンプランナーの仕事も
順調で忙しく
させてもらっている

「千亜季さんの
  仕事が見てみたい。」
と、言う進藤さんに
驚いたが、
「良いですよ。」
と、私が最近手掛けている
庭に案内した。

進藤さんは、黙ったまま
ずっと庭を眺めていた。

彼の真剣な眼差しに
嬉しくなっていると

「千亜季さん、
今日は、どうされたのですか?」
と、現場監督が。
「あっ、少し状態を見に伺いました。」
「えっと、千亜季さんの彼?」
「あっ、いえ。」と、千亜季
「すみません。
勝手にあまりにも、
綺麗で足が止まってしまい。」
と、翼。
「だろ。千亜季さんの作りだすものは
隅々まで、細やかに行きとどいて
いっそう綺麗差が増すんだよ。
千亜季さん、良い理解者だな。」
と、監督に言われて
私達は、顔を見合わせて笑った。

現場を離れて
「ごめん。俺が立ち止まったから
誤解させることになって。」
と、言う進藤さんに
「ううん、全く気にしてないよ。
こちらこそ、ありがとう。
誉めてくれて。」
と、答えると

「気にされてない·····か····」
「あっ、いやっ、そんな意味じゃ」
「いや、良いんだ。
今日は無理言ってごめん。
さあ、帰ろうか?」
と、寂しそうな顔をして
先を歩く進藤さんに

もう、なんなのよ!!

と、思い、その場で腕組みして
進藤さんの後ろ姿をみていた。

しばらくすると
進藤さんは、私が後ろにいない事に
やっと気づいて····振り向き

その場から、動いていない
私に驚いて戻ってきた、
そして
「どうしたの?」
と、問い掛ける進藤さんに

「はぁっ、一人で帰って下さい。
では、これで。」
と、言って私は進藤さんが歩いた
方向の反対へと歩きだした。

なんで、こんなにイラつくのか
正直自分でもわからなかった。

進藤さんの言葉···なのか
進藤さんの態度···なのか
自分自身を把握でき····ない····

もぅ、とにかく·····帰ろう。
< 50 / 96 >

この作品をシェア

pagetop