裏切り

夏海side②


待ち合わせしたカフェで
夕方から閉店まで待った。

大典は······
やはり来なかった。

あきらかに避けられてるのは
わかっていたから
来ないだろうと思っていた。


昨日······一日中·····考えた

大典に連絡して
大典が来なかったら······

大典の全てを
 諦めて一人で産んで
    この子を育てる


エコー写真を見ながら
何度も··何度も····考えた。

経済的な事
父親がいない寂しい思いを
させるかもしれない事
仕事の事
いろんな事を考えたが
どうしても
産みたいと思ってしまった。


店長は、お腹が目立たない間
無理しないように働くことを
許可してくれた。

店長も一人お子さんがいて
心配しながらもわかってくれた。
店長は、ご主人もいて
幸せな家庭があるが。

帰宅してから母に話をした。
前回の慰謝料の事で
心配かけたが
やはり子育ての先輩でもある
母に話したかった。

母は、驚いていたが
何よりも孫が出来ることを
喜んでくれて
「実家に帰ってきたら」
と、言ってくれたから
「働ける間は、少しでも働いて
この子の為に蓄えたいから
それから、帰っても良い?」
と、訊ねると
母は、
「待っているね」
と、言ってくれた。

親孝行などしたこともない
私に母は、本当に優しかった。

母は、実家近くの病院で
栄養士をしている。
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