裏切り
ビクッ·····いやっ·····
ドンドン!!ドン!
「千亜季!千亜季!いるんだろ?」
えっ、て···つや···おじ···さん?
私は、玄関に行き
鍵を開けると同時に
叔父さんは、
「なんか、あったのかと
心配した。
姉さんが、何度も電話するけど
でないと·····っ···
どうした?千亜季。
なんかあったんだな?」
私の顔を見て
叔父さんは、ぎょっとしながら
私に訊ねた。
私は、首を横にふりながら
「なんでも···ないの·····
心配かけて·····ごめんな····さい··」
「なんでも、ないはずがない
俺に話してみろ、なぁ?千亜季」
心配そうな顔をして
私を抱き締めてくれる叔父さんに
再び涙があふれだす
泣きながら
翼さんとの出会いから
今までの事
今日見た事を話した。
うまく話せなくて
申し訳なかったが
叔父さんは、気長に聞いてくれて
「翼さんって、あの進藤さんだな?」
と、訊かれて
あ~、離婚を叔父さんに依頼したと
言っていたな
と、思い
「うん。」と、頷くと
「だったら、今日、進藤さんが
一緒にいたという女性は、
千亜季の話を聞く限り
離婚した奥さんだと思う
それにあくまでも、
俺の推測だが、
産婦人科に
なぜ、進藤さんが一緒に
いたかはわからないが
元の奥さんが妊娠していると
したら、それは、進藤さんの
子供ではない。
本当は、守秘義務なんだが
お前にとっても
進藤さんにとっても
大切な事だから
少しだけ話すな。
進藤さんの元奥さんには
恋人がいるんだ。
進藤さんと夫婦の時から。
その彼の子供だと
俺は思う。
それに、進藤さんは
元奥さんと性行為は
ずっとなかったと言っていたから。」
叔父さんが、私の事を
心配して、本来なら決して
やらない事をしてくれたと
わかっているが·······
今の私には
それでも彼が
あの場所で
あの女性と一緒にいた姿が
頭から離れなかった。
泣き続ける
私を叔父さんは抱き締めながら
背中をさすってくれた。