裏切り

産婦人科に着くと
目の前を通過していく女性が····

彼女のお腹は大きく
妊娠していることは
一目で、わかった。

俺は、一度
車まで彼女を連れて行き
車に乗せて話をした。

彼女は、あの時と
表情がまったく違っていた。

千亜季に対して
ひどい事をした、と
きつそうにしながら
頭を下げて詫びていた。

俺は、俺にではなく
いつか千亜季の傷が癒えた時
直接合って言ってやってと、
伝えた。

安部さんは、妊娠4ヶ月を
過ぎているようで
今は、少しでも働きたい
この子の為に、と話してくれた。

実は、千亜季に払う慰謝料を
実家の母に借りたんです
と、恥ずかしそうに話てくれた。

あ~、彼女も頑張っているんだなぁ
と、思いながら·····

俺は、核心をつく

だが、彼女は、
「この子は、私だけの子です。
父親は、いません。
だけど、母がとても
喜んでくれて。
お店に立てなくなったら
実家に帰ります。
それまでに·····会えるかな····?」
と、最初は厳しい顔をして
お母さんの話の時は、優しげに
最後は、千亜季に対してだろう
悲しそうな顔をしていた。

「いいの?」
と、訊ねると
「はい!!」
と、元気よく返事をした。

きっと、沢山の辛さを
一人で乗り切ったのだろう

本当に、あの男は、
糞みたいや奴だ。

安部さんを店の近くに
送り届けてから
再び産婦人科に戻り
話を聞かせてもらった。

仕事がら少しは聞ける
やはり、進藤さんの嫁は
妊娠していた。

どちらの子供かは
わからないが
俺は、進藤さんの子だとは
思っていない。
だが······

車に戻り
進藤さんに電話をした。
【手がすいたら至急連絡をして下さい。】
と、留守番に入れて
職場に向かう。

事務所に着いてから
千亜季に連絡をして
問題ないか、訊ねると
千亜季は、笑いながら
「ありがとう。」
と、言っていた。

一時間後位に
進藤さんから連絡があった。
< 66 / 96 >

この作品をシェア

pagetop