裏切り

梓side


みくと食事を終えて
ゆっくりしていると
来客を知らせるブザーが····

みくが玄関へと
何やら話し声がしていたが
止まり、足音がする
みくが部屋に入ってきて
「なんだったの?勧誘?」
と、テレビを見ながら訊ねる

少しずつ食べれるように
なってきたが、
調子が悪い時は吐いているが······

「あずさ」
その声に、振り向くと
かず君が立っていた。
みくは、
「梓、お風呂に入ってくるね。」
と、言ってその場を離れた。

下を向いたままの私に
「梓、話しても良い?」
と、訊ねる、かず君に
コクンと頷くと
かず君は、私のそばにきて
そのまま、私を抱き締めて
「やっと合えた。
     身体大丈夫?」
と、言われて
えっ、顔をあげると
かず君は、
心配そうな、悲しそうな顔をしていた。

「進藤さんが病院にきたんだ。
それで、梓の事をきいた。
吉田さんの家にいることも。」
と、言われて涙が溢れた。

その涙を指で拭きながら
かず君は、
「梓は、どんな気持ちで
俺と付き合ったの?
進藤さんは、俺から見ても
良い男だよね?
俺は、遊びだったの?」
と、言われて
「ちっ、違う。
翼君は、優しいけど
無理やり結婚してもらったけど
やっぱり、どこか負い目があって
夫婦と言うより兄妹みたいで
かず君とは、話しもあって
沢山色んな事話せて楽しくて
心から安心したの
だけど、私は結婚しているし
その事は、かず君に話せなかった
話せば、かず君が離れて行くと思って。」
「じゃさ、俺の事今でも好き?」
と、訊かれて、頷く······と
「離婚となって
俺に知られたから
怖くなって連絡取らなかったの?」
「それもあるけど
翼君にも悪いことした、と。
自分だけ幸せになったら
ダメだ、と思って。」
「そうか。良かった。
梓、結婚しよう。
俺達の赤ちゃん、一緒に育てよう。」
と、伝えると
「いいの?こんな私で。
旦那がいるのに
浮気して、かず君と付き合って
いたんだよ。」
「知らなかったけど。
俺は、俺は、梓だから
好きになったんだよ。」
「でっ、でも···私、家事苦手だよ。」
「知ってる。
これからは、赤ちゃんできるし
少しずつ覚えて行こうな。」
と、言うかず君に
うん、うん、と何度も頷く。

「良かったね、梓。」
と、いつの間にか、
みくは戻っていて
そう言ってくれた。
< 71 / 96 >

この作品をシェア

pagetop