裏切り
一也・梓side
進藤さんからの連絡で
梓のお腹の子は
進藤さんに関係なく
梓の籍に一度入る。
その手続きも進藤さんの
お知り合いの弁護士さんが
行ってくれる事になった。
俺達が一緒になった時も
何か問題があったら
その弁護士さんが力になって
くれるとの事だった。
本当に進藤さんには、頭が上がらない。
俺は、きちんと梓に
結婚を申しこんだ。
梓は、
「バツイチの私で良いの?
かず君は、今からお医者さんとして
活躍して、もっと綺麗で
優しい人が現れるよ。」
「ば~か。俺は誰でも
良いわけじゃない。
梓だから一緒にいたいんだ。
産まれてくる子供を
二人で大切に育てて行こうな。」
と、伝えた。
正直に言えば、不安はある
だけど、影で動いてくれた
進藤さんのためにめ
梓のお腹にいる我が子の為にも
頑張っていくんだと思っていた。
そんな梓も、泣きながら
俺のプロポーズに
うん、うんと頷いてくれた。
それから俺達は、
引っ越しも無事に終わり
直ぐに籍をいれた。
梓の両親にも
俺の母親にも
言わないままに入籍をして
母子手帳を作り替えてもらった。
翼君と暮らしていた部屋の
冷蔵庫や洗濯機、レンジ類は、
かず君と話して使わせて
貰うことにした。
ベッド等は、新しく購入した。
全てが終わって
私は、両親に連絡をして
全てを話した。
両親からは、かなり叱られて
翼君に申し訳ないと
言っていたが、
かず君に、会ってくれると
言ってくれた。
かず君は、大学病院に研修に
入ったので、少ししてから
行く事を伝えた。
かず君のお母さんは、
お父さんを亡くしてから
一人で助産師さんとして
働いている。
かず君のお母さんには、
嫌みの一つ、二つ言われても
仕方ないと思っていたが
私に早く会いたいと
言ってもらえた。
私もかず君の横で話を聞いて
涙が溢れた。
お母さんは、孫をこの手で
取り上げてみたいと
言ってくれたから
お願いした。
翼君のことも
ちゃんと好きだった。
でも、私のごり押しで
一緒にいてもらった
負い目もあったのか·····
かず君にも
私のごり押しがあったと思うが、
かず君と一緒にいると
とても穏やかな気持ちになれる。
これからは、
かず君との生活を大切にして
生きて行きたい。