裏切り

大典


大典┉


千亜季がイギリスへ
仕事で向かってから
部屋は汚くなるし
洗濯物もたまる
食事はと言えば、
コンビニや弁当の日々。

今日もコンビニで買い物をして
いると
「大典さん?」
と、言われて振り向くと
千亜季の友達の
安部 夏海さんだった。
「ああ、安部さん。」
「どうしたの?お弁当なんて
千亜季、ぐわいでも悪いの?」
「いえ。
千亜季は、今、イギリスに
行っているので」
「イギリス?仕事で?」
「はい。五ヶ月ほど」
「あら、大変ね。
それで、コンビニ弁当?
あきるでしょ」
「まあ。」
「私が作りましょうか?」
「いや、いいです。」
「遠慮しなくても。
私と千亜季は、友達なんだから。」
と、言われて
強引にかごからお弁当を取られて
棚に戻され
安部さんにスーパーへと
連れてこられた。

「大典さん、何が食べたい?」
「なんでも、いいです。」
「じゃ、日本食で。」
と、安部さんは言いながら
次々に食材をカートに入れていき
買い物を済ませて
俺達のマンションに来た。

安部さんが、自分の部屋より
広いからと言うので。

安部さんは、手際よく
料理をして
二人で食べることにした。

千亜季の料理とは
味は違うが美味しく食べた。

安部さんにお礼を言い
タクシーを呼んで
帰ってもらった。

それからは、二、三日に一度
来てくれて
掃除、洗濯をやってくれたり
食事を作ってくれたり・・・・


そんな、ある日、食事のあと
美味しそうなワインが入ったからと
持ってきてくれていたので
二人で飲んで
そのまま、朝を迎えた。

目が覚めると
俺も、安部さんも裸だった。

そう、俺達は酔った勢いで
身体を繋げてしまった。


それからは、なしくずしに
毎日、安部さんは、
家に来るようになり
「まるで、夫婦みたいね」
と、はしゃいでいた。

もうこんなことは
止めようとなんども
口にするが・・・

「何言ってるの
大典だって、何度も私を抱いたじゃない
気持ち良さそうに
それも、千亜季と寝る夫婦の寝室で。

私が、千亜季に話したら?
大典に襲われたと
千亜季は、どちらを信じるかしら?····ね

あっ、嘘よ。

千亜季が、帰国したら
もう会えないのだから
いまの内に沢山
愛し合いましょうよ。」
と、言うと
俺の唇にキスをしながら
舌を絡める

そんな安部さんに流されるように
安部さんの唇をむさぼる

千亜季のスレンダーな身体と違い
豊満な胸を持つ夏海の身体に
流されて行く·····

「大典、夏海と呼んで。」
「・・・なつみっ・・・」
夏海の服を脱がせ
身体を堪能していく
「ああ・・ん・・だい··すけっ・・・」
「はっ・・・うっ・・・・」
何度も·····
何度も·····身体を繋げる

俺は・・・いったい・・・・

何を····やって···いるん···だ·····

千亜季の事を愛しているはず
       ・・・・・なのに・・・


千亜季が、帰ってくるまで····

帰ってきたら、
千亜季だけを
愛していく。

そして夏海とは
二度と関わらないでいよう。

俺は、そんな事を
安易に考えていた。

この浅はかな判断が
自分を苦しめる事に
なるとは········

俺は·····何も·······

 わかって

    なかった。
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