裏切り
千亜季
ちょっと、トイレに行ってくると
奏多君を連れてカフェに
戻って行った鏡さん。
夏海を見ると
夏海は、肩をすくめている
すると翼が
「鏡さんは、気づいたと思う」
と、言うから
「ん?なにに?」
と、訊ねると
「佳山さんがいた。」
「「え、嘘。ええっ····」」
と、私と夏海
夏海は、心配そうにしながら
カフェに行こうとするが······
それを、翼が止めた。
そんな夏海に
「きっと大丈夫だよ。
それにしても
夏海、素敵な旦那さんだね。」
と、私が言うと
夏海は、涙を瞳にためていた。
少しして
奏多君を連れて鏡さんが
出てくると
夏海は、駆け寄る
そんな夏海を鏡さんは
奏多君ごと抱き締めた。
その後、少し立ち話をして
私達は、
「また会おうね」
と、約束をして
その場を放れた。
翼と歩きながら
「翼、いつ気づいたの?」
「入ってすぐかな?
じっと、千亜季達を見ている男が見えて
はじめは、変な奴じゃないかと
心配したんだが
佳山さんじゃないかと。」
「そうだったの?
全然、わからなかった。」
「でも、鏡さんは、すごいな。
俺なら、千亜季も結翔も
絶対に会わせない。
俺の最愛な人と
俺の大切な宝物だからな。」
「うふふっ。
そうだね、鏡さんは牽制の意味も
あったかもしれないし。
自分がきちんと幸せにします
と、言いたかったのかもね。
私も、翼と結翔はとても
大切で何ににも代えがたい
それに翼がいないと
息が出来ないくらい」
と、言うと
翼は、自分の腕の中で
疲れて寝てしまった
結翔を抱きながら
赤い顔をして
私の耳元で
「じゃ、結翔が寝たら
仲良くしような。」
と、言うから
今度はこっちが赤面してしまった。
愛し合って
恋人時代を共に過ごして
結婚した人に簡単に裏切られて
いつの日か、また
人を好きになったとしても
裏切られるのでは?
それなら·····ずっと一人で良い
仕事さえあれば····良い
と、そう思っていたのに······
母や叔父に護られて
翼に出会い
翼に愛され
もう一度だけ
この人を信じてみよう
もう一度だけ
この人を愛してみよう
この先、何があるか
わからないと不安なら
一日、一日を
大切に有意義に過ごして行こう
そして、毎日、翼に愛してる
と、伝えて行こう
「翼、大好き、愛してるよ。」
「ああ、俺も千亜季を愛してる。」
完