ホワイトデーは甘くして？

「どうしよ……。せっかくデートする予定だったのに……」

痛みは女の子の日だと自覚した刹那、さらに激しさを増した。痛む場所をさすりながら皐月はとりあえずリビングに向かう。

ドアを開けた刹那、ふわりとコーヒーのいい香りが漂った。

「おはよう、今日は俺が朝ご飯作るよ」

ふわりと蒼太が笑い、皐月も「ありがと……」とぎこちなく笑う。その時、またお腹に痛みが走り思わず皐月は床にしゃがみ込んでしまった。

「〜〜！！」

痛みが激しく、声に出すこともできない。蒼太がキッチンからやって来て、「大丈夫？」と皐月をソファに寝かせた。

「ひょっとして、女の子の日？」

蒼太の言葉に、皐月は「ごめん……」と呟く。お腹が痛いことや悲しさなどが混じって、涙がこぼれた。

「気にすんな。今日と明日はゆっくりしよう」

皐月の頭にふわりと手が乗せられる。蒼太はニコリと優しく笑ってくれた。

「朝ご飯、作ってくるよ」